月刊誌『人材教育』2010年10月号

履歴書に始まり事業計画書などに至るまで、ビジネスパーソンにとって「書く」ことは重要な基本です。しかし、空気が読めない履歴書、主述がわからない企画書など、昨今の職場からは、「書く力」の低下を嘆く声が聞こえてきます。ビジネスパーソンの書く力は本当に低下しているのでしょうか。そして、書く力が落ちるということは、どういうことを意味するのでしょうか。
 弊誌では、文章を書く力のほかにもう1つ、大切な書く力として、「自身を成長させる書く力」があると考えます。10月号の特集ではこうした、「書く」ことの意義や重要性を追求しながら、書く力向上のヒントを、企業・学校事例やオピニオンの意見を通じて提示します。

巻頭インタビュー 私の人材教育論
顧客志向とチャレンジ精神変化をいとわないDNAが次の100年へ道筋をつける

日東電工は、フィルムやシートに付加価値をつけ、液晶用光学フィルムといったエレクトロニクス製品から、両面接着テープなどの一般工業製品、自動車や医療、水処理などの幅広い分野での製品を開発し、世界的な企業として業績を伸ばしてきた。同社の成長を支えたのは、「常にお客様に満足を与え続ける」「未知の分野に挑戦する」「変化をいとわない」といった“顧客志向に基づく挑戦”を育む組織風土だ。2018年に創業100周年を迎える同社は、このDNAを守り伝えることで、成長し続ける企業をめざす。

特集 基本シリーズ 基本能力 読む・書く・考える
書く力を強化する

履歴書に始まり事業計画書などに至るまで、ビジネスパーソンにとって「書く」ことは重要な基本である。しかし、空気が読めない履歴書、主述がわからない企画書など、昨今の職場からは、「書く力」の低下を嘆く声が聞こえてくる。本当に「書く力」は低下しているのか。だとしたら、それはなぜなのか。弊誌では、こうしたビジネス文書を書く力の他にもう1つ、大切な「書く力」として、「自身を成長させる書く力」があると考える。このように、「書く」ことの重要性を改めて追求するとともに、書く力を高めるヒントを、企業事例やオピニオンの意見から提示する。

How do you write?
書き散らしていませんか?

ブログやTwitterが普及し、文字を書く機会は日々増えているように見える。 まさに「一億総表現者」といえる状況だ。しかし一方で、この状況を危惧する声も多い。 私たちの“文章生活”に今、何が起きているのか。

Special Interview
阿刀田高はこう書く

プロフェッショナルが書くものは、長年にわたり生き続ける。それは、文章を書き散らさず、勇気と責任を持って書いているからだと、日本を代表する小説家の1人である阿刀田高氏はいう。どのように言葉を紡いでいるのか、そして文章を書く際のヒントを阿刀田氏に聞いた。

How should we write?
書く力を武器にする

先のインタビューで阿刀田高氏は、書き手は覚悟を持って書き、書いたことに責任を持つ必要があると述べている。 ではそのように書くためには、何が必要なのだろうか。 ここでは「書く」ことを分解し、仕事の“武器”として使いこなすまでの道筋を考える。

学校事例(書く) 佐賀県立唐津西高等学校
手帳に書くことで意識と生活態度が変わる

生活の乱れという手帳とは一見関係のないことが、唐津西高校に手帳が導入されたきっかけだ。毎日の時間割や課題、部活などの予定を手帳に書くことで、自分の時間や生活を意識するようになる。そして、それらを通じて生活態度が良くなり、遅刻や欠席も減ったという同校。書くことによって生徒が成長した、その取り組みを聞いた。

手で書くか、キーボードで書くか
脳を刺激して賢く書く方法

脳科学の立場から見ると、「脳の活動」と「書くこと」には、どのような関係があるのだろうか。 とりわけ、書くことの原点ともいえる手書きは、脳の活動と密接に関係しているという。 専門家の見地から、手やキーボード入力で「書く」ことが、人間の脳にもたらす影響について聞いた。

ネットでつながる時代にどう書くか
ネットの集合知で自らの考えを推敲する

パソコンやネットばかりしていては、まとまった文章が書けないという意見もある。だが佐々木氏は、それはまったく違うという。ネットの「集合知」を利用し、書いたものを整理しやすいパソコンだからこそ、質の高い内容を書くことができるというのだ。

企業事例(書く①) トヨタ自動車
書く機会を通じて仕事の流儀を育む

さまざまな伝説を生んでいる「トヨタ流企業改革術」。その1つに「A3用紙1枚」の文書作成法がある。あらゆる社内文書をA3用紙、あるいはA4用紙1枚でまとめ上げるという独自の手法は、果たしてどんな狙いに基づいているのか。「A3用紙1枚の筆力」を上げさせ、若手の仕事力を伸ばしている同社のノウハウとは。その具体像を聞いた。

企業事例(書く②) 東陽テクニカ
意識して書かせることで文章力と論理的思考を訓練

情報通信測定機器をはじめとする測定機器の専門商社、東陽テクニカ。社員の多くが理工系大学出身という同社では、論理的に考えをまとめ、文章を書く能力を養成するための社員教育を多数行っている。しっかりと書く力を強化することで、論理的に考える力がを養っている同社の教育を紹介する。

企業事例(書く③) 電通テック
ビジネスの現場で活きる“武器”としての書く力を育てる

各種メディアでの広告企画・制作を行う電通テックでは、新入社員の「書く力」を強化するため、通信教育と研修をブレンドしたユニークな研修を導入した。その目的は新入社員の書く力を棚卸しして客観的な気づきを与え、ビジネスにおける最低限の文章力を身につけさせること。定型文書を習得させ、あらゆるビジネスで活用できる「書く力」の育成を行っている。

手帳は「書くこと」を通して自らの成長を促す最強のツール

「書く力」の重要性が再確認されるなか、ビジネスパーソンにとって身近なツールである手帳の素晴らしさ、手帳を使うことの効能も、改めて認識されてきている。そこで今回は、『能率手帳』で知られる株式会社日本能率協会マネジメントセンター(以下JMAM)で、手帳の開発に携わる乃万肇氏に話を伺った。

中原 淳の学びは現場にあり! 第3回
CAの成長を支える「点と線」の育成ネットワークリフレクションを促すフライト後の“デブリ”

今、エアライン業界では、競争が激化しています。そうした中、ANAでは国際線を拡大する戦略を打ち出し、今まで国内線、国際線に分かれていた客室乗務員(CA)の一本化を図るため、育成に力を注いでいます。世界に羽ばたくCAの育成の秘密は、“現場の学び”にありました。

ベンチャー列伝 第21回
スタッフの創造性を引き出し人が辞めない組織をつくる

レストラン事業を展開し、その独自のサービスと教育体制でも知られるHUGE。スタッフの長所を伸ばしながら専門職として育成する、“人が辞めない組織づくり”を行っている。

人材教育最前線 プロフェッショナル編
衆知を結集し、成果を喜び合う組織をつくる

ビジネスを取り巻く経営環境の変化は加速するばかりだ。1989年当時13行を数えた都市銀行は、現在3つのメガバンクへと収斂された。財閥の枠を超えての合併と話題になった三井住友銀行も、来年4月には合併から10周年を迎える。この間、金融自由化を背景に、個人、法人、企業金融、市場営業、国際、投資銀行と銀行の部門は細分化された。専門化した金融商品の提案や多様化する顧客ニーズへの対応ができる人材をいかにして育てるか。今年4月に三井住友銀行人事部研修所所長に就任した金子良平氏に、人材育成への想いと今後の展望について伺った。

TOPIC-① 「脱!無縁職場シンポジウム~ひとりランチ社員が増えていませんか?~」レポート
職場の縁とは何か?無縁職場を脱するために必要なこと

去る7月28日、東京国際フォーラムにてFeelWorks主催による『脱!無縁職場~ひとりランチ社員が増えていませんか?~』と題するシンポジウムが開かれた。同シンポジウムは、コンサルタント会社をはじめ、企業の人材開発の第一線で活躍する人物を招いて職場の縁とは何か、必要なものなのかについて問い直すというものだ。若手社員、ミドルマネジャー、外資系企業と日本企業、そして時代の変化とともに現代の職場の縁はどのように変化しているのかについて考える4つの講演とパネルディスカッションの様子をレポートする。

TOPIC-② 国際女性ビジネス会議「明日を動かそう~新しい人、企業、社会~」レポート
明日を動かすために、今できること

働く女性が互いに学び合い、高め合える場をつくろうと1996年から始まった「国際女性ビジネス会議」。今年で15回目を迎えた本カンファレンスは、女性起業家としても有名な佐々木かをり氏が代表を務める国際女性ビジネス会議実行委員会が主催するもので、毎回1000名ほどが参加する。参加者の95%以上が女性という、熱気あふれるカンファレンスだ。2010年7月24日に開催された会議の様子を紹介する。

論壇
研究者・技術者はR&Dビジネスリーダーをめざせ ~スペシャリストからプロフェッショナル、そしてビジネスリーダーへ~

今、研究開発部門の存在価値が問われている。研究開発投資の割にその成果が少ないとの指摘が経営者をはじめとして多いのだ。魅力的なアイデアやテーマを事業化につなげ、企業の成長戦略の一翼を担うR&Dビジネスリーダーになるにはどうしたらいいのかを本稿では紹介する。

調査データファイル 第104回 番外編
地域密着型商品開発で成功した「吉田ふるさと村」に学ぶわくわくする仕事が若手社員を活性化する

過疎地域の活性化を見込んで設立した会社の多くが第三セクターであるが、うまく機能している企業は少ない。そんな中、官からの出向者や退職者を受け入れず、行政支援は出資金のみにとどめて65名もの雇用を生み出し成功している「吉田ふるさと村」。同社の成功の影には大ヒット商品の開発があるが、携わったのは若手人材であり、教育訓練は開発プロセスそのものという。グローバル企業にも匹敵する、その手法を検証する。

インストラクショナルデザイナーがゆく 第41回
ビジネスリーダーはMANZAIを学習せよ!

寺田 佳子(てらだ・よしこ)氏 ジェイ・キャスト常務取締役、IDコンサルティング代表取締役、日本イーラーニングコンソーシアム執行役員、eLP(eラーニングプロフェッショナル)研修委員会委員長、JICA情報通信技術分野課題支援委員、JICA─NET Instructional Design Seminar講師、ASTD(米国人材開発機構)会員。 著書に『IT時代の教育プロ養成戦略』(共著、東信堂)など。 http://instructionaldesign.blog97.fc2.com/