月刊誌『人材教育』2010年12月号

21世紀も10年が経過しようとしています。今後、日本企業はどのような経営戦略を採り、その戦略を実現する人づくりや、人が育つ環境を整えるべきなのでしょうか。
それを探るには、過去を振り返り、反芻・反省しておくことが有効です。
そこで、本号では21世紀のこの10年の経済環境と、企業が求められた人事施策、人材育成や環境づくりの大きな潮流を、識者や実務家の意見なども交えて整理することで、読者の皆様に振り返りの材料をご提供します。
また「決して忘れてはいけない反省点」についても提起し、
2011年1月号「これからの日本的人づくり」の前段といたします。

巻頭インタビュー 私の人材教育論
新しいことへの好奇心が思いやりと創造性を育みビジネスを拓く

1887年に国産第一号のオルガンを完成させたことに始まったヤマハの歴史。 楽器を中心にAV機器や楽曲配信、さらにはゴルフクラブといったスポーツ用品まで、幅広い事業を展開している。 30年のキャリアのうちの半分を欧米で過ごした梅村社長は 「Yamaha」が世界的なブランドになるところを肌で感じてきた。 そんな梅村社長に、世界で仕事をするための基本や、ヤマハの人づくりについて伺った。

歴史は雄弁に語る
21世紀初頭10年の人づくりを振り返る

21世紀も10年が過ぎようとしている。1990年代初頭のバブル崩壊から持ち直し、明るい兆しが見えてきたところで起きたリーマンブラザーズの破綻。 激変するビジネス環境は、企業に、何が起きても動じない足腰を鍛えることを学ばせたといっても過言ではないだろう。 国内市場も飽和し、日本企業はもはや受身でいることを許されない。 では今後、日本企業はどのような経営戦略を採り、その戦略を実現する人づくりや、人が育つ環境を整えるべきなのか。 それを探るには、過去を振り返り、反芻・反省しておくことが有効である。 そこで、21世紀のこの10年の経済環境と、企業が求められた人事施策、人材育成や環境づくりの大きな潮流を、識者や実務家の意見なども交えて整理する。 そして、日本企業が忘れてはいけない本質的な人づくりについても問題を提起し、「日本的人づくり」とは何かを浮きぼりにして、次の10年につなげたい。

Part2 経営者は振り返る①
加藤丈夫 ― 社会構造の大転換期

日本企業はこの10年の間に2度の大不況を経験し、同時にかつてない社会構造の変化に直面している。将来的に、深刻な労働力不足となることは避けられそうもない。こうした状況を引き起こした要因について考え、同一価値労働同一賃金の実現による非正規社員・高齢者層の戦力化、OJTの強化による現場力の回復など、経営が打つべき手について考える。

Part2 経営者は振り返る②
松井忠三 ― 市場縮小の10年

21世紀初頭10年は、バブル崩壊などの影響で国内市場が激しく縮小していった時期だった。そんな環境の中、流通業界では、どういった対策がとられたのか。この10年の「経営と人づくり」を、人事経験を持つ経営者、良品計画会長・松井忠三氏が振り返る。

Part3 識者は振り返る①
花田光世 ― 今の時代に対応する仕組みづくりを

人事機能・サービスは社会の変化などに対応し、どのようにその活動を多様化してきたのか。人事制度や仕組みは、時代時代で、人事の諸先輩が時代の動きを先取りして人事制度を構築し、運用の工夫を行ってきた。ここではこの10年といわず、戦後からの人事の諸先輩の努力を継承し、これからますます不透明の時代、どのような問題意識の下に人事の仕組みを構築すべきかを論じる。

Part3 識者は振り返る②
下山博志 ― 「組織」から「個」への10年

人づくりの10年間を振り返ると「組織」から「個」へと、重点が切り替わったことが浮き彫りになる。組織が個人のために何かをする時代から、個人が何ができるかを問う時代へと転換したのだ。人事部は、個人が企業内だけで育つのではないと認識を改めたうえで、個人の想いを丁寧に汲み取って育てていくことが求められるだろう。

Part4 企業家たちは振り返る 座談会
激動の10年と人事・人材開発の今後

21世紀を迎え、ちょうど10年。日本の組織はさまざまな時代の試練に直面してきた。経営環境が厳しくなり、自律的な働き方や「個の力」が求められるように。一方で、組織の絆は薄れ、新たな人と人の結びつきが必要とされている。人事に期待される役割はこの10年間にどう変わったのか。人事・人材開発の最前線で新たな課題に挑む4氏に語ってもらった。

戦略的な人材育成に欠かせない
社員のスキル管理をいかに行うか

国際競争力を持つITプロフェッショナルの育成を一つの目的として、2002年に策定されたITSS。その後策定されたUISSとともに認知は進んでいるが、企業が人材育成に活用するには、課題も残る。今回、両スキル基準の策定に携わり、ITのプロ育成に尽力する株式会社スキルスタンダード研究所の高橋 秀典氏と、人材育成とそのシステムに関するコンサルティングを得意とするイシン株式会社の大木 豊成氏に、企業が直面する人材育成の課題について話を伺った。

連載 中原 淳の学びは現場にあり! 第5回
どんな仕事でもクリエイティブにできる!社員の創造性を引き出す「ほぼ日」の秘密

人気サイト「ほぼ日刊イトイ新聞」の運営や「ほぼ日手帳」などオリジナルグッズの開発、販売を手がける東京糸井重里事務所。ユニークなコンテンツを次々と生み出す「雑談が多くて楽しい職場」は、糸井さんによって巧みにデザインされた「学びに満ちた職場」でもありました。

連載 ベンチャー列伝 第23回
若手に“考え方”を伝承し自ら考える組織体をつくる

ビー・ワイ・オーが運営する店舗では、マニュアル通りのオペレーションは極力排除される。スタッフの自主性を重視し、キャリア形成の視点から示唆を与える「中野塾」や、全員参加のメニュー開発など、飲食業界において独自性のある人材育成の試みを実践している。

連載 人材教育最前線 プロフェッショナル編
折れない気持ちが困難を克服し仕事を楽しくする

化粧品業界は不況知らずだという。とはいえ、メーカー各社の競争は厳しい。基礎化粧品やメークアップ化粧品、ボディ用商品に至るまで多岐にわたる。国内メーカーの中でいち早く海外進出を実現させたコーセー。成熟市場の中で、業界の平均を上回る業績で推移しているというコーセーグループの採用と教育を一手に引き受けているのが、人事部課長の村松勉氏である。従来の価値観が通用しなくなりつつある新時代の若い人材に対し、かつて営業担当者だった村松氏が伝えたい想いとは何か――。厳しい営業の第一線で活躍してきた経歴を持つ、教育担当者ならではの人づくりへの想いを伺った。

JMAM通信教育優秀企業賞 受賞企業事例報告 札幌トヨタ自動車
人材育成の基本は自己啓発上司自らも受講し率先垂範

通信教育を人材育成に活用し、積極的に学ぶ風土を醸成している企業に対し贈呈される「JMAM通信教育優秀企業賞」。2010年は7社に贈られたが2010年11月号から3号にわたり、その取り組みを紹介している。北海道における自動車販売をリードする札幌トヨタ自動車は、「社員の成長が会社の発展につながる」との考えに基づき、自己啓発を育成の基本に据えて、四半世紀にわたり通信教育を活用。現在は同じ通信教育制度をグループ15社に展開。受講者・修了者を増やすためのさまざまな工夫を行い、高い受講率・修了率を実現している。

JMAM通信教育優秀企業賞 受賞企業事例報告 メニコン
明確な基準設定で1人ひとりの能力開発を促す

日本のコンタクトレンズメーカーのさきがけとして、多数の製品を世に送り出してきたメニコン。そうした“創造と挑戦”のDNAを育むために生まれた新しい人事・教育制度を支える柱の1つが、通信教育だ。受講基準を5段階に設定することで、会社が重視する能力を示すとともに、従業員1人ひとりの主体的な学習をサポートしている。

JMAM通信教育優秀企業賞 受賞企業事例報告 日世
細やかな工夫の積み重ねが自ら学ぶ意欲を刺激

日本のNo.1シェアを誇るソフトクリームメーカー、日世では全社員の7割が通信教育を受講している。それには、コース体系図の作成や、会社方針との関連性を訴えるなど、受講者の学びたくなる意欲を刺激する、きめ細やかで独自の工夫があった。

さらに使いやすさアップで導入企業が急増中!
『eラーニングライブラリ』の活用法を紹介

株式会社日本能率協会マネジメントセンター(以下、JMAM)が提供している、定額で全教材学び放題というeラーニングの新しいスタイル『eラーニングライブラリ』。今回、そのサービス内容や、効果的な活用方法について、JMAMの角田修、岩崎淳、阿部洋一の3氏に話を伺った。

システム構築不要のSaaS型eラーニング
『Generalist/LM(SaaS)』

ビジネス環境の変化に伴い、人材育成の重要性が再認識されるなかで、特に改めて注目されているのがeラーニング。その有用性は多くが認めるところだが、大掛かりなシステム導入に躊躇する企業も少なくない。そこで今回、システム構築が不要なSaaS型eラーニングサービスを提供する東芝ソリューションの小野慎一氏に話を伺った。

TOPIC 第32回メンタルヘルス大会レポート
働きがいのある職場・希望が持てる組織づくり職場に花を置き、心に寄り添い、モグラたたきでない対処を

働く人のメンタルヘルスに関する研究や実践活動の発表の場である「メンタルヘルス大会」(日本生産性本部メンタル・ヘルス研究所主催)が今年も9月2~3日に東京で開催された。 第32回を迎えた今回のテーマは、「働きがいのある職場・希望が持てる組織」。社員の心身の健康を保つことは、当然ながら能力を十二分に発揮してもらう環境づくりとイコールだ。当日の講演や提言、事例発表では、そこにさまざまな要因があることが明らかになった。一部を紹介する。

連載 調査データファイル 最終回
人材を育てる制度とは年功から仕事基準の人事制度への転換

8年間続いた本連載の最終回となる今回は、これまでの連載を振り返りながら、人づくりにおける日本企業の問題点と改善策を挙げる。最も大事なのは、低成長期にいる企業では年功主義を改め、仕事基準の人事制度を導入することだ。それが教育機会を得られない若手にチャンスを与え、ゆくゆくは企業の基盤を強化することにつながる。