月刊誌『人材教育』2011年03月号

激変する経営環境の中を勝ち抜くために今、企業がやるべきことはたくさんあります。その1つが、教育体系の全般的な見直しだといえるのではないでしょうか?”人”が企業の競争力の源泉である現在、経営の求める人材を、自社の教育体系で本当に育てることができているのか。実際に教育体系の棚卸しをした多くの企業では、人材育成理念と実態の齟齬や、本社教育と現場教育の重複など、さまざまな問題が明らかになり、それらの問題を解決するべく新たな取り組みを始める企業もあります。
 人材開発部門が経営のパートナーとなり、企業にとって必要な人材を常に育成できるようにするためには、継続的にPDCAを回し、自社のニーズにあった教育体系を維持することが重要です。本特集では、そうした必要性を訴えるとともに、見直しの際のポイントを解説します。

川合正矩
一人ひとりの社員に
会社への主体意識を養うことが
教育の役割

激化する国内競争、グローバル化――急変する経営環境に対応した人材育成は、 多くの企業にとって喫緊の課題だ。 かつて教育担当を務めた経験もある日本通運 川合正矩代表取締役社長は、 「管理職の存在こそ人づくりの要」と語る。 「優秀な管理職は発掘するのではなく、自らつくるもの」―― 最新の研修施設を開設し、きめ細かなフォロー体制で次世代リーダーを育てる、 同社の人材教育の骨太な方針と決意を語る。

組織活性の 
「対話力」

昨今、日本の職場では、組織構成員の 多様化など、さまざまな要因から、 価値観の多様化が起きている。 そうした中、多様な人々をまとめて鼓舞し、 チーム力や組織の知識創造性を 高めていく「対話力」を持って、 組織を強化、活性化することが 求められている。 そうでなくても、一筋縄ではいかない コミュニケーションだが、 あくまでベースとなるのは 1人ひとりの従業員の 話す力」や「聞く力」だ。 では、「話す」「聞く」をベースとした 対話力」はどうしたら 向上することができるのか。 明日から真似できる ちょっとしたテクニックから、 心髄をつく考え方までを紹介する。

専門教育+
経験学習による
新しい教育体系の
構築を

バブル崩壊以降、日本企業が推し進めてきた個人主義に限界がきている── この問題に直面している今、集団の力の見直しが進み、それを牽引できる“戦略ミドル”の育成が急務である。 これまでの日本の企業教育の流れと課題、そしてこれからの教育体系をいかに築いていくべきかを、 文京学院大学の谷内篤博教授に聞いた。

経営と現場を巻き込み
ゼロベースで体系再構築

2002年に教育体系をゼロベースで再構築した共同印刷。 現在は教育が社内に根付き、 現場を巻きこみながら順調に教育内容を充実させている。 こうした成果が上がったのも、経営層と直に話し、 自社が求める人材像を明確にしたからこそ。 体系を見直す時のポイントを紹介する。

中長期事業計画の達成のために
階層別教育を刷新する

総合医療機器メーカーのジェイ・エム・エスは、 中長期事業計画の達成のために、階層別教育を一新した。 各階層が役割をまっとうすることが、 中計達成につながるからだ。 部長や課長のあり方を問い、人事制度の変革まで 影響を与えた階層別研修の概要を紹介する。

現場力の強化をめざす
新たな教育体系を構築

大手非鉄金属メーカーの三菱マテリアルでは、 2010年4月に人財開発センターを設立し、新たな 教育体系を構築。人財育成の一層の強化に乗り出した。 そこで注力されているのが、 技術者向けの知識レベルの底上げだ。 1年目の現在、ヒューマン系のスキルから 工学基礎・専門講座まで体系的に 学ぶことができる仕組みが運用されている。

OJT だけでは限界!
今こそ営業マン育成体系の
見直しを!

基礎研修、マナー研修を終えるとあとは、OJT という名の放置が 始まる──これではいつまでたっても成果を上げることができる 営業マンは育たない。OJT の限界を超える教育の「仕組み」が必 要なのだ。 今回、ソフトブレーン・サービス株式会社代表取締役社長の野部 剛氏と営業部長の田中雄氏に、いかにしてできる営業マンを育成 するか、話を伺った。

需要創造型人財の育成に向けて
教育体系の見直し・
構築をサポート

急速な社会環境やビジネス環境の変化のなかで、日本企業は今、かつての需要対応型から 需要創造型へ、ビジネスモデルの転換を迫られている。 需要を創造することができる人財は、どうすれば育成することができるのか? そのため の教育体系はどのようにして構築すればよいのか──こうした問題について、今回、株式 会社ジェックの渡辺晶三氏に話を伺った。

ベテランの知恵を伝える小学校教員の育成
子ども同士が学び合う学校で先生も学び合う
検証現場 大田区立久原小学校

今、小学校では、学級崩壊やモンスターペアレントの出現など、対応の難しい問題に直面して います。そんな中、東京都内の小学校では、深刻な若手人材育成の課題を抱えているといいま す。現場の先生たちはどのように学んでいるのでしょうか。若手教員の育成に力を入れている 都内の小学校を訪ねました。

経営学を人材育成に
応用するとは

前号の第1回では、経営は理念の共有で成り立つもの であり、人材開発のフォーカスもそこにあるべきという こと、そのために人事は、「成長物語の社内広報」の 役割を担うことを紹介した。 今回は、そもそも経営学とは何かを明らかにしたうえ で、経営学と人材育成の関係について考えていく。

数字よりも現場を体感して
考える人材を育てる

オイシックスでは、スタッフが生産者や顧客に接する機会を 創業時から意識的に設定してきた。それによって顧客のニーズや 生産者の想いを体感し、ロジカルシンキングの手法を使って 問題解決を導くことができる人材を育成している。

本質を追究し、やるべきことを理解させる

世界最大の民間電力会社である東京電力。同社の総合研修センターでは、経営課題や社員の能力開発ニーズを踏まえた研修体系を整え、全社を挙げて徹底した人材育成に取り組んでいる。栗原正明氏は、2008年7月に総合研修センター実践技術グループマネージャーに就任。同氏は、慶應義塾大学の非常勤講師や、複数の中学校で講師として講義を行うなど、学校教育の現場でも教育経験を持つ人物だ。そうした栗原氏が抱く思いは、若いうちから「なぜ学ぶ必要があるのか」という目的をしっかりと意識できる人材を育てたいということ。栗原氏に人づくりへの想いを伺った。

~アクション・ラーニング新展開~
“三位一体”での推進が
改革を継続させる

より実践的な学びを意識して、アクション・ラーニングを行う企業は多いだろう。 しかし、研修中に立てた戦略案は研修後、実際にしっかりと実行に移されているだろうか?  絵に描いた餅になってしまうといった声がよく聞こえてくる。 そこで、某企業が実施した次世代型アクション・ラーニングを紹介したい。 三位一体型――企業内研修所と外部コンサルタントが参画した事例である。

ヒトのコトは全て人事の仕事
“お客様に尽くす従業員”のために

2011 年1 月現在、首都圏を中心に358 店ものファミリーレストランを運営するジョ ナサン。そこでは1 万3000 人を超えるクルー(アルバイト、パートのスタッフ)が働 いている。今回、同社の人事部を訪ね、仕事の内容や大切にしている考え方などを伺った。