月刊誌『人材教育』2011年07月号

新人の基本能力の低下、職場における育成の連鎖の断絶など問題が山積する中で、企業にはこれまで以上にしっかりとした若年次教育(内定者・新人・若手教育)が必要とされています。持続可能性のある組織づくり、自社のDNAを残すための人材投資という観点からも、新人・若手の採用・育成は、企業の最重要課題の一つとなっています。
 企業の将来を左右する若年層は、人事と現場が協働して、職場ぐるみで育てるべきです。しかし、昨今の企業の教育部門には、教育の予算や時間が限られる中で、若年次教育を現場や外部に任せきりにしてしまう傾向も少なからず見られます。特に新人教育は、管理職研修などに比較して、教育担当者の裁量の余地が大きく、影響力の大きいところ。つまり、教育担当者が自分ごととして本気で取り組まなければ、新人・若手は育ちません。
 本特集では、熱い思いを持って若年次教育に取り組む教育担当者と、その思いを具現化するための仕組みやツールについて、しっかりと紹介していきます。

巻頭インタビュー 私の人材教育論
個人の“知”を集め、「いい匂いのする」ソリューションを生む

神戸製鋼とIBM。2つのものづくり企業のDNAを受け継ぎ、新たな変革にチャレンジするコベルコシステム。その卓越したソリューション力は、「いい匂いがする」と顧客から評価されている。同社の「勝ち残り」を賭けた人財育成は、個を活かし、同時に全社にまたがるネットワーク力を活かす、という基本方針に基づく。その要諦と想いを聞いた。

Opinion①
新人、若手が育つ職場をつくるには

「現場のOJTが機能しない」といわれ出して久しい。人は職場でどのように学習し成長しているのかを探究した『職場学習論』の著者、中原 淳氏は、若手が育つ職場づくりのためには、現場マネジャーの協力が不可欠であり、そのためには「教育担当者が“現場の言葉で育成を語る”ことが重要だ」と話す。若手社員が成長する職場のために教育担当者は何ができるのか。

Opinion②
教育担当者の前向きな行動が“原石”を光らせる

愛知県初の民間企業出身の県立高校校長として、さまざまな教育改革を実践してきた鈴木直樹氏。人材=光を放つ原石であり、人材を否定的に見る人のほうが問題だといい切る。人材はプラス思考で育むことでどのような光を放つのか。民間企業での人づくりの経験を経て、現在は教育現場で次代を担う人材を育てる鈴木氏の実践から、その意味を考えてみたい。

企業事例①大分キヤノンマテリアル
成長する喜びを生む巻き込み型の若手育成

キヤノングループの化成品の主要量産工場として急成長を遂げる大分キヤノンマテリアル。同社では、社員一人ひとりが自立した人材となり、周囲と協働し合えるように、若年層教育に力を入れ始めている。「育成課題は多々ある」と謙遜しながらも、若手の育成を土台として、先輩社員の主体的なかかわりや、人材育成施策の“見える化”を促すことで、会社全体を“学ぶ風土”へと進化させようと試みている。

企業事例②綾羽
人事が現場に出向き学びと実務のつながりを伝える

1946年の創業以来、社会環境の変化に対応して、次々と事業内容を多角化してきた綾羽。「企業の強さは変化への対応力」といい切る同社にとって、人材は、企業が成長するための“人財”である。そして、人材が“人財”へと進化するのは“現場”だと考える同社では、若手教育において、人事が現場をしっかりとフォローしている。その取り組みを紹介する。

企業事例③日本モレックス
入社3年間は職場ぐるみで育成のグッドサイクルを回す

日本モレックスは、世界3位のコネクター・メーカーである米国モレックスの日本法人。同社では、新卒採用を重視し、内定時・入社後・配属後の若年次教育を“基本”・“Way”を軸として一貫して行うことで、人材を体系的かつ継続的に育て上げている。教育担当が起点となり、新入社員と現場、そして教育部門が一体となった若年次教育の取り組みを紹介する。

新入社員が自ら気付く!自ら変わる!『新入社員基本行動トレーニング』

新入社員に必要な基本行動を繰り返し訓練し、“できるつもり”から、実際に“できる”ようになる──株式会社日本能率協会マネジメントセンター(以下、JMAM)の『新入社員基本行動トレーニング』(Fresher’s Basic ActionTraining /以下、FBT)が、教育担当者から注目を集めている。同社の竹田洋介氏にFBT の内容と、実施後の受講者、人事担当者の反応などについて話を伺った。

“成長する楽しさ”を味わえる野外体験型学習プログラムBSR

若手社員の“社会人としての基礎力”が低下しているのではないか──こうし た悩みを持つ企業の教育担当者から注目を集めているのが、旭化成アミダスが 提供する野外体験型学習プログラム『BSR ビジネス・シミュレーション・ラ リー』(以下、BSR)。近年では大学関係者からも注目を集め、社会人基礎力の 向上を目指し導入する大学も出てきている。そこで今回、同社の田中靖氏に、 BSR の特徴や、企業・大学の活用状況を伺った。

グローバルに活躍する若手人材育成をスピードアップSAP のタレントマネジメントソリューション

国内市場の成熟化が進む中で、日本企業はグローバル市場での競争力を高めることが急務だ。その中で、若手人材を含め、海外に通用する人材をいかに早く・確実に育成できるかが問われている。グローバル人材の育成に関する問題は、実は人材情報の管理・活用の不足に起因する例が少なくないが、それらはITを上手く活用することで解決できるという。そこで今回、SAP ジャパン株式会社の山田敦子氏に、若手を含むグローバル人材の育成と、IT による解決策について話を伺った。

新人の“優等生意識”を打破させ、本気を引き出す

若手社員の成長を促し、人事や現場を巻き込んだ教育プランを提案している株式会社イコアインキュベーション。イコア社の研修は、若手社員自身の成長したいという気持ちに火をつけ、受講後の行動が変わると評価が高い。今回、イコア社の重野氏、丸田氏、プロフェッショナルパートナーとして、講師を務める星氏、橋本氏を加え、新人~若手教育のあり方について語っていただいた。

連載 酒井穣のちょっぴり経営学 第6回
マーケティング③
顧客との関係をつくるCRM

「経営学」の中でも、2回にわたり、マーケティングの内容を取り上げてきた。今回は、厳しい時代にあって大きな成功を収めているフレームワーク「CRM(CustomerRelationship Management:顧客関係管理)」について考え、マーケティング①~③の締めくくりとする。

内省型リーダーシップ❸
ビジネスシーンで内省を実践する

今月号から、筆者を交代し、八木氏の研究成果である「内省型リーダーシップ」をビジネスに活かす手法を紹介します。一般的に多くの人が成果を上げるべく行動の振り返りを行っていますが、抜本的な改革や継続的な成果にはほとんどつながっていません。そうしたMBA的アプローチの限界を超え、新たな問題を発見することができる内省をビジネスでも活用する方法と有効性について、事例を交えて解説します。

連載 人材教育最前線 プロフェッショナル編
広い視野で挑戦する意思が個人、会社、社会を強くする

どんな業界であっても環境の変化は激しい。国境を越えてビジネスを展開するクレジットカード業界であればなおさらだろう。多くの海外企業がしのぎを削る中、日本発のクレジットカードブランドとして参入し、世界を舞台に事業を拡大させたJCB。今年で創立50周年を迎え、現在では、海外加盟店1120万店、海外会員869万人、190の国と地域に展開している同社で、9年にわたり人材育成を担当するのが、人事部次長の久保寺晋也氏だ。人事部に配属となって以来、環境の急激な変化に合わせた人事施策を次々に実施してきた同氏に、人事の仕事への想いを伺った。

個人のキャリアと企業理念を結ぶ
『“実践”理念経営研究会』

昨今「理念経営」の重要性が改めて認められている。その際、問題 になるのが、理念をいかに共有するかだ。 2011 年3月から2012 年2月まで開催される『“実践”理念経 営研究会』では、「個人のキャリア・アンカーと企業理念の接点を 見つける」ことをテーマに、理念共有のヒントを与えている。株式 会社ジェック オンリーワンコンサルティング部の粟野智子氏、福 井夏子氏に、同研究会について伺った。

Intelligent な人事情報へ
企業戦略を実現する人財管理
ソリューション『Generalist』

給与計算、就業管理など、企業の人事管理にIT 化された管理システムは欠かせないものとなっている。時代の変化とともに、管理だけでなく評価や育成につながる機能を持った人事管理システムへのニーズが高まりを見せている。そこで今回、育成を視野に入れた人財管理ソリューション『Generalist』を提供する東芝ソリューションの田中尚氏に話を伺った。

講演録 第2回 早稲田会議
ファーストリテイリングのグローバル戦略
日本企業・日本人の美徳がグローバル化を実現する

早稲田大学が「魅力ある日本社会の創出」を議論するために公に設けている場「第二回 早稲田会議」にて、去る2011年5月12日、ファーストリテイリング柳井正 代表取締役会長兼社長の記念講演会が行われた。ビジネスモデルもさることながら、「英語公用語化決定」など、人事・教育分野でも注目を集める同社と柳井氏だが、今、グローバル戦略として何を思い、何を考慮しているのだろうか。当日の講演から、日本企業のあり方や、グローバル市場で秀でるために考えるべきことなどを抜粋し紹介する。

論壇①
~フォロワーシップの「組織効果×5」「個人効果×5」~
若手・中堅社員のフォロワーシップの開発が組織のチームワーク強化のカギ

リーダーシップの対の概念となるフォロワーシップ。偉業を成し遂げた優れたリーダーの影には、必ずその他大勢の優れたフォロワーの存在がある。リーダーシップを際立たせる優れたフォロワーシップとは何か。フォロワーシップのタイプに応じた強化のポイントを紹介する。

論壇②
非公式な3つの影響力を発揮して
プロジェクトを成功させる狩猟型プロジェクトマネジャー

昨今、仕事の多くがプロジェクト型であり、その成功はプロジェクトマネジャーの質が大きく左右する。本稿では積極的に成功を勝ち取るプロジェクトマネジャー、「狩猟型プロジェクトマネジャー」が持つ3つの非公式な影響力について論じ、そうした人材はどう育てればよいのかについて述べる。

連載 人事の職場拝見! Vol.6
サイボウズ
人事の役目は成長する環境づくり
日常に“感動”を生む働きかけを

サイボウズでは、社員の“成長”とはどのようなことかを明確に示し、それを日々の業務で支援する仕組みを設けている。創業15年目を迎え成長し続ける同社の人材育成を担う事業支援本部人事部を訪ね、その役割や大切にしている思いを聞いた。