月刊誌『人材教育』2011年08月号

35歳から40代前半ほどの”ベテラン中堅”社員――
下の層にも上の層にも影響を及ぼす、非常に重要な時期です。
全員が管理職にはなれないのが多くの組織の現実の中、モチベーションの維持が大変な時期でもあります。
そんな彼・彼女らに、上司にも後輩にもフォロワーシップを発揮して、 能力を発揮してもらうにはどうしたらいいのでしょうか。
多くの企業では、「自分で学んでもらう時期」と見なされ、教育支援が薄い層ですが、 果たしてそれは正しいのでしょうか。
キャリア研究者、実務家、産業医の視点や企業の取り組みから出てきた生の事例、 また当事者であるベテラン中堅社員の生の声などから、その強化・支援・モチベート策を探ります。

巻頭インタビュー 私の人材教育論
社会を俯瞰する目線と技術を極める探究心で50年先の事業を創る

人と機械が調和した理想的な工場、「アンマンドファクトリ」。1960年代に当時の技術者が生んだ概念は、安川電機の大きな事業の柱となった。その基盤となった技術を極める執念と、本質への洞察力は、ベテラン社員から脈々と同社の中で受け継がれている。そして、2015年に創立100周年を迎える同社は「アンマンドファクトリ」に続く新たな事業を創造する人材の育成に乗り出している。

特集 フォロワーシップを発揮する
ベテラン中堅はこう強化する

35歳から40代前半ほどの“ベテラン中堅”社員。下の層にも上の層にも影響を及ぼす、非常に重要な時期である。しかし、全員が管理職にはなれない、組織の現実の中、モチベーションの維持が大変な時期でもある。しっかりと能力を発揮してもらい、バリバリと働いてもらうにはどうしたらいいのか。最強のフォロワーシップを発揮する、名アシストをつくるには――

Column①
生き生き働く社員と元気をなくす社員の違い
― ベテラン中堅社員のキモチ ―

キャリア発達が主観的または客観的に停滞してしまう現象を「キャリア・プラトー現象」という。青山学院大学経営学部の山本寛教授は、長年にわたりこの現象と昇進の関係や、労働者のワークコミットメント、労働観などについて研究し、多くの実績を残している。ベテラン中堅社員の中には、ポスト不足やその他の理由で、組織から承認されている感覚が持てず、モチベーションを低下させプラトー状態に陥る人もいる。そこで、そもそもこの層が置かれた状況の整理と、彼・彼女らをモチベートする方法を聞いた。

Opinion②
管理職手前で身につけるべき母性的リーダーシップとその強化方法とは

管理職、リーダーシップ育成の文脈でよく寄せられるのが、「 もっと早くに育成しておく必要があった」という意見だ。では、ベテラン中堅層に、具体的に何を学んでおいてもらえばいいのだろうか。コンサルティング会社代表、経営コンサルタントの河合太介氏は、変革の時代こそ「母性的リーダーシップ」に目を向けるべきだ、と語る。果たして、ベテラン中堅が身につけるべき“ 柔”のマネジメントとは。

Column①
生き生き働く社員と元気をなくす社員の違い
― ベテラン中堅社員のキモチ ―

後輩を指導しつつ、自分の仕事を抱え、管理職の上司を支えながら毎日の仕事に励む「ベテラン中堅社員」。結婚、出産、育児、親の介護といったライフイベントが多い世代でもある。ベテラン中堅社員を取り巻く状況や悩みについて、企業・組織内で彼らの多くをカウンセリングしてきたメンタルヘルスの専門家、産業医の

企業事例① 日本郵船
経験学習と適切なフィードバックが強いベテランの土台になる

海上運送業で120年を越える歴史のある日本郵船。海上を行く船さながら、社内には風通しの良い、明るい雰囲気が漂う。それは「全員を将来の幹部候補」と捉えられた社員たちが、ジョブローテーション、Off -JT、そして育成的フィードバックでしっかりと若い頃から鍛えられ、生き生きと働いているからであった

企業事例② キリンホールディングス
思い込みの枠を超えもう一歩挑戦できる組織づくり

キリングループの「縁の下の力持ち」ともいえる、40代前後のキャリアを重ねた女性社員。同社では、彼女たちが現在の仕事の“見えない枠”を超えて成長できるよう仕組みを整え、活躍を促進している。妥協や諦め、遠慮といった、成長を阻害する中堅特有の意識を改革するのは、“枠を超えてもいいんだ”と思える強い女性たちのつながりだった。

企業事例③ キッコーマン
入社時からのキャリア開発でステージごとに意識を変える

キッコーマンでは、入社後から15年目までの時期を「CDP(Career Development Program)」期間と位置づけ、社員のキャリア開発を多方面から支援する。その中で“自立”から“自律”へと意識を変え、40歳前後では、組織の意思決定に貢献できるように成長していく仕組みがある。

覆面座談会ベテラン中堅のホンネ
ベテラン中堅社員こそ組織を変えるドライバー

若手と管理職の間に位置し、仕事では最前線を張る「ベテラン中堅層」。彼らはいかに仕事のモチベーションを見出し、会社に対してどのようなことを考えているのか。業種も経験も異なる3人のベテラン中堅の“ホンネ”から浮かび上がってきたのは、自ら役割を認識し、自らやりがいを生み出しながら、現場第一線で励む姿だった。

ベテラン中堅社員の「フォロワーシップ(部下力)」を高めて組織力の強化を

ベテラン中堅社員のモチベーションを高めて組織を強化したい̶̶そんなニーズに応えてくれそうな研修がある。リ・カレントが提供するフォロワーシップ開発プログラムだ。「フォロワーシップ」とは、リーダーシップと対になる概念で、言わば「部下力」のこと。ベテラン中堅層がフォロワーシップを実践することにより、上長のリーダーシップや組織のマネジメント力は一層高まるという。

フォロアーシップの向上が企業の将来を担う需要創造型の中核社員を育てる

中堅社員育成は、会社の将来を負って立つ存在を育てるという意味で非常に重要である。そのため多くの企業が、中堅社員に向けてリーダーシップや顧客価値創造などの教育を導入している。ところが、ここに欠けている視点に「フォロアーシップ」がある。今回、『フォロアーシップ向上コース』を展開する株式会社ジェックの渡辺晶三氏、小倉あおい氏、谷田部譲氏の三者に、フォロアーシップ育成について伺った。

現場任せのOJT 指導を見える化“人の育つ職場づくり”を可能にするWeb 診断システム

若手社員が育たずにそのまま中堅社員になる、その中堅社員が若手を育てられない─ ─人材育成の負の連鎖である。中堅社員はもちろん、若手や管理職を含めて“人が育 つ職場”ができていないことが、企業にとって大きな問題となっている。 こうした問題を解決するカギとなりそうなのが、ダイヤモンド社が提供する2つの Web 診断プログラム。それぞれ、職場でのOJT 指導力、職場全体の育成力を見える 化できるという。そこで今回、同社の永田正樹氏に両プログラムについて話を伺った。

研修導入事例:小野測器
「ターニングポイント研修」で中堅社員のモチベーションを向上

エンジンやモーターなどの開発に用いる計測器メーカーとして知られる小野測器(本社:横浜市、従業員数:425 名)。同社では入社4 年目、10 年目、20 年目、30 年目などの節目を迎えた社員に、キャリアを考える「場」を提供する「ターニングポイント研修」を実施している。ここでは、その中でも入社10年目の社員に実施しているキャリア研修を中心に、導入の背景やプログラムの内容、効果などについて、総務人事部長の内藤正巳氏と人事企画課係長の永島悠也氏に伺った。

研修導入事例:三菱マテリアル
管理職手前の階層にキャリア研修を実施し、マネジメント意識を高める

総合素材メーカーとしてグローバルな事業活動を展開する三菱マテリアル(本社:東京、従業員数:4730 名)は、2008 年度、管理職の手前に当たる階層(主に30 代前半~ 40 代)を対象に、日本能率協会マネジメントセンター(以下、JMAM)のキャリア開発研修を導入した。以来、毎年80 人以上が研修を受講。ベテランに差し掛かる中堅社員が自らのキャリアを見つめ直す機会として活用されている。

中堅社員の意識と能力をさらに高めるJMAM の通信教育

若手と管理職をつなぐ組織の要として、現場の最前線に立つ中堅社員。こうした中堅社員の意識や能力をいかにして高めていくかが、企業にとっての大きな課題になっている。そこで今回、中堅社員の成長について、株式会社日本能率協会マネジメントセンター(以下、JMAM)で通信教育の添削講師を務める小川剛司氏に話を伺った。

中原 淳の 学びは現場にあり! 第 10 回
日誌とお茶会が伝える現場の知恵
子どもたちも先生も育つ幼稚園の学び
検証現場 成城ナーサリィ・スクール

成城ナーサリィ・スクールは、園児60数名の小さな幼稚園。子ども一人ひとりを尊重し、自主性を育む独自のプログラムを行うことで、地域でも人気の高い幼稚園です。幼稚園の先生たちの学びの場には、なぜか「お茶とケーキ」がありました。

酒井 穣のちょっぴり経営学 第7回
会計学① 会計学 キソのキソのキソ

今回は、「経営学」の中でも「会計学」(Accounting)の基礎について取り上げる。人事社員は苦手意識を持ちがちな「会計」だが、会計を知れば、組織の健康状態を把握することができる。また、組織の状態を理解したうえでの仕事や戦略が、人事・人材開発にも求められるのである。

内省型リーダーシップ❹
思い込みを外す「保留」とは

前号ではビジネスに内省を取り入れて変革を実現した事例をご紹介しました。今回は、ビジネスにおいて内省を深めるコツである「保留」について事例を交えてご紹介します。深いレベルでの内省は、この保留なしではできません。浅いレベルの内省との違いを解説し、業務上の生産性の向上のヒントを紹介します。

連載 人材教育最前線 プロフェッショナル編
全日本空輸
違いを尊重し、強みに昇華し相互に高め合う組織を創る

ANAには、総合職事務職、総合職技術職、特定地上職、運航乗務職、客室乗務職の5つの職種がある。さらに、グループ会社・関連会社が155社。グローバル競争が激しい業界では、すべての社員が力を結集する必要がある。そこでANAグループを担う人財を育成するために設立されたのが、ANA人財大学である。服部洋和氏は、ANA人財大学の設立時から活躍してきた人物。グループ会社、人事労務管理の調査・研究を行う外部機関への出向など、人材育成をはじめとした多くの経験とスキルを身につけてきた服部氏に人財育成と仕事に対する想いを伺った。

TOPIC① 気仙沼漁業協同組合支援チャリティセミナー
「狭くて不便な環境で働くマグロ船漁師に学ぶ ストレスをなくす技術」レポート
限られた資源・困難な状況でもストレスに負けない職場をつくる

去る5月11日、キャリアカウンセラー有志の震災支援団体J-Projectによる、気仙沼漁業協同組合支援チャリティセミナーが日本橋で行われた。講師の齊藤正明氏(ネクストスタンダード代表)は、会社員生活から突然マグロ船に乗ることになったという稀有な経験を持つ。そこから得た「マグロ船ストレスマネジメント」の勘所が、臨場感たっぷりに語られた。その様子をレポートする。 ※なお、このセミナーの参加費の一部は、被災した気仙沼漁業協同組合に寄付された。

TOPIC②
「 HRカンファレンス2011」レポート
就職情報サイト3社と現役人事担当者が語る!
変化に対応する新卒・若手採用戦略

去る5月24日・ 25日の2日間にわたり、秋葉原UDXにて「HRカンファレンス2011」が開催された。同カンファレンスは、人事・労務関連のポータルサイト『日本の人事部』を運営するアイ・キューが主催するものだ。本誌では、1日目に「変化に対応する新卒・若手採用戦略」というテーマで実施された、パネルセッションの様子をレポートする。

TOPIC③
ASTD2011 International Conference & Expoレポート
リーダーシップ開発は
個人の内面と向き合うアプローチへ

ASTD(米国人材開発機構)主催の「 ASTD International Conference & Expo」が今年も5月22日~25日まで米国フロリダ州オーランドで開催された。「 Learning to Lead(リードするための学習)」をメインテーマとし、リーダーシップ開発についてのセッションが例年に比べ多く用意されていたという。ASTD日本支部理事、リーダーシップ開発委員会委員長の理事を務める永禮弘之氏の視点でその一部をレポートする。

連載 人事の職場拝見! Vol.7
ベリサーブ
高い技術とマネジメント力のあるプロ集団をつくりあげる

2001 年にソフトウェア製品の検証サービスを提供する企業として設立されたベリサーブ。同社の歴史は、1983 年にCSK の一部門としてソフトウェアテスト業務を受託したことに始まる。早い人では20 代後半から“小さな経営者”としての活躍が求められるという、同社の人材育成にかける思いを伺った。