月刊誌『人材教育』2011年09月号

真のグローバル化とは、国境がボーダレスになり、さまざまな背景を持つ人たちが協働し、力を発揮していくことである。
日本国内に目を転じてみても、海外人材の採用に積極的な企業が昨今格段に増えている。
だが、“とりあえず”海外人材を採用してみたが、彼・彼女らを受け入れることができず、力を発揮してもらえないという問題も多くある。
その一方で、海外に行き、さまざまな人材をまとめていくことのできる日本人の育成問題も依然としてある。
こうした問題を解決するポイントは、グローバルに通じるコミュニケーション力にあると考え、現状の課題を浮き彫りにしたうえで、どのようにすれば、海外人材と国内の人材が共に通じ合い、力を発揮できる職場をつくることができるのかを、制度や仕組みと、個人レベルの工夫の両方を紹介し、ヒントを提示する。

巻頭インタビュー 私の人材教育論
夢を持ち失敗を恐れず
世界一に挑戦することで
イノベーションが生まれる

120年以上の歴史を持つ老舗企業であるクボタ。農機を中心とした機械部門、パイプ・膜を中心とした水・環境部門、素形材を中心としたインフラ部門が社会の基盤を支えてきた堅実な企業といえる。歴史の長さはそれだけの財産を意味する一方で、グローバルに挑戦しなければならない今、過去の成功が変化の妨げにもなりかねない。そうした中、同社を変える原動力となっているのが、「夢」である。トップ自ら、「夢を見ているか?」、「世界一をめざしているか?」と社員に声をかけることで、会社全体が大きな夢に向けて前進するのだ。

Opinion
仕事のルールをグローバル化すれば
誰でもグローバル人材に

日本に押し寄せているグローバル化の波。これまでさほどその必要性を感じてこなかった企業も、対応に大わらわだ。「グローバルビギナー」ともいうべき企業や個人はどんな問題に直面しているのか。最大の障壁は、日本特有の「ルールなき仕事のプロセスにある」と指摘するキャメル・ヤマモト氏。グローバル3.0時代を生き残る戦略について聞いた。

Column
グローバル時代に必要なのは
「完璧」ではなく「使える」英語
―今こそ、英語への意識を変えよう―

グローバル化を考えるうえで避けては通れない、英語。一方で大半の日本のビジネスパーソンは、いまだ英語に対する苦手意識が強い。その壁を超えるには、完璧でなくてはいけないという思い込みを捨てること。グロービッシュを始めとする簡易英語を日本のビジネスに展開する関口雄一氏が、簡易英語の重要性とグローバルビジネスにおける可能性について語る。

職場報告1
切磋琢磨できる風土づくりが
グローバルな職場の必須条件

日本電気(NEC)のグローバルキャリアクラウド事業部は、今年4月に設立された部門。NECのグローバル化を牽引する存在として、社内外の外国人と仕事を共にする部署だ。語学の問題は助け合うことで解決し、仕事に関する姿勢については、外国人から良い刺激を受けているという同職場の様子を紹介する。

職場報告2
エイチシーエル・ジャパン

米国、ヨーロッパ、アジアなど世界31カ国にわたり事業を展開するインド最大級のIT企業、HCLテクノロジーズ。その日本法人エイチシーエル・ジャパンでは、多国籍の人材がコミュニケーションを図りながら共に働き、日本市場に特化したソリューションを提供している。外国と日本の人材がお互いの持つ強みを活かして働く同社の、コミュニケーションのあり方を紹介する。

企業事例1
時代も国境も越えた普遍的力を生む
ワンカンパニー=ワンカルチャー

日本発のグローバル企業として世界中に拠点を構えるトレンドマイクロ。同社には、TLCという内なる自分を見つめ直すオリジナルの研修がある。自分を見つめ直すことこそが、時代や国境を越えて通用するコミュニケーション力に不可欠という同社。時代にも国の違いにも左右されないワンカンパニー=ワンカルチャーをめざす同社の教育を紹介する。

企業事例2
発信力としての英語力を磨き、
相手とのコミュニケーションレベルを上げる

英語力強化に取り組む企業は多いが、社員のモチベーションの維持は難しい。2009年から英語力強化に改めて取り組んだ双日では、当初社内でのさまざまな反応に直面しながらも、現在では英語学習を楽しむ雰囲気が醸成されつつあるという。その理由の1つは、“ビジネスに役立つ英語力をつける”という同社のコンセプトが明確なことだろう。相手を知り、自分を相手に知らせる―発信力を身につけ、実践で役立つ英語学習に力を入れている同社の取り組みを紹介する。

企業事例3
インドに6週間!
実際に異文化を体験し語学力も集中強化

外国人とコミュニケーションを図るうえで最初に立ちはだかるもの。その最たる例といえば、言語と文化の違いという“2つの大きな壁”ではないだろうか。IHIでは、そうした2つの壁を取り除くために、実施期間6週間にも及ぶインド滞在研修を開始した。ビジネスで重要な位置づけとなっている新興国での異文化体験は、どのような効果をもたらすのか――。同社の取り組みを紹介する。

BBTの英語教育プログラムで
語学を学びグローバルマインドを育む

ユニクロを展開するファーストリテイリングは、ビジネスの本格的なグローバル展開に合わせて2012年3月から社内で英語を公用語化する。現在、英語教育は同社の最重要課題の一つであり、その中でビジネス・ブレークスルー(以下、BBT)の英語教育プログラムを活用しているという。実際にBBTのプログラムをどのように活用しているのか、ファーストリテイリング人事・採用・教育部の古河健介氏に話を伺った。

~グローバル人財の採用から育成まで~
個人と企業をHappyにする
人財管理統合サービス『the life suite』

日本の企業にとって、内需の縮小に伴うグローバル展開への対応が、急務となっている。グローバル展開を進めるうえで、最大の課題は「人財」だ。グローバル規模で人財をいかに採用し、育成し、管理するか。その課題を解決するソリューションとして注目されているのが、株式会社シルクロードテクノロジーが提供する人材管理統合サービス『the life suite』。同社副社長の小野りちこ氏に、このサービスについて話を伺った。

若手向け「海外派遣型研修」が
企業のグローバル人材プール化を促進させる

「グローバルで活躍できる人材になるには、海外でのリアルな経験を積むことが不可欠」との考えから、若手人材の成長を支援するウィル・シードでは、若手人材のグローバル化を目的とした「海外派遣型研修」を提供している。単なる海外留学とは異なり、現地での異文化経験をその後のビジネスに活かせる教育的仕組みを用意しているところが特長だ。

英語力がある幹部社員のための
「グローバル・コミュニケーション・スキル」

「幹部社員や幹部候補社員にグローバルマネジャーとして活躍してもらうために、実践的なビジネス英語コミュニケーション力を習得させたい」。こうした日本企業のニーズに応えるのが、ネットラーニングのグループ会社、パーソネル総研が提供する総合学習コース「グローバル・コミュニケーション・スキル」である。英国国立オープン・ユニバーシティが開発したプログラムを、日本人向けにアレンジして提供する。同コースの特長などについて、パーソネル総研代表取締役の岸田徹氏に聞いた。

中国の現地法人や現地社員との
コミュニケーションに活かせる
「能率手帳・中国語版」

中国へ進出する日本企業が増える中、中国現地での贈答用や、現地社員向けに、日本製の良質な手帳を求める声が増えている。そうしたニーズに応え、日本のビジネス手帳のパイオニアともいえる「能率手帳」から、中国語版が登場した。開発上の工夫や、手帳を活用した現地とのコミュニケーションなどについて、開発担当者に聞いた。

HR インスティテュートの
異文化マネジメント・プログラム
<ソーシャル×ウェイ×対話>

個人やチームから“主体性”を挽き出すプログラムを提供し、多数の実績を持つ株式会社HRインスティテュート(以下、HRI)。同社は海外でのソーシャル活動を行っており、それを通して異文化マネジメントの本質を捉えたうえで、企業のグルーバル化をサポートしている。今回、同社が考えるグローバル化の本質と、それを実現するためのグローバル化推進プログラムについて、稲増美佳子、ローレンス・キヨヒロの両氏に話を伺った。

~グローバル経営人材を育む~
ビジネスの現場に近い実践的英語力を測定
事例:三井物産人材開発

ビジネスのグローバル化が進む中で、ビジネスの構造そのものが大きく変わってきている。今回、三井物産の人材育成を担う三井物産人材開発の長谷部元靖氏、尾瀬智久氏に、グローバルでのビジネスの変化と、そこで求められるコミュニケーションのあり方について、お話を伺った。

グローバル化に悩む
人事を全面的にサポート
~ SAPの人事ソリューション~

ビジネスのグローバル化が進む中で、企業の人事部に求められる人材育成の施策や仕組みづくりが変わってきている。グローバル企業の人事部は海外の人事部や事業部門とより多くのコミュニケーションを行いながら、人事施策に取り組む必要があるが、様々な阻害要因に悩む人事担当者は少なくない。今回、SAPジャパン株式会社の西脇真氏に、人事のグローバル・コミュニケーションを阻む阻害要因と、その解決策について話を伺った。

通訳のスペシャリストに学ぶ
グローバル人材育成プログラム

サイマル・インターナショナルが運営する『サイマル・アカデミー』では、単に英語を学ぶのではなく、“英語で学ぶ”プログラムを提供し、企業のグルーバル人材育成を支援している。今回、同社の井戸惠美子・古谷水穂の両氏に、グローバル人材に求められる力と、それをどのように身に付けていけばよいか、話を伺った。

酒井穣のちょっぴり経営学 第8回
会計学2
ここを見る!会社の台所事情

前回は、人事・教育担当者が会社の会計の、どこを押さえておけばいいのかを見てきた。今回は、引き続き押さえどころである「損益計算書」と「キャッシュフロー計算書」について紹介する。「会計学」の基礎を理解すれば、会社の状況(=健康状態)を正しく把握するのに役立つ。人事・教育施策はそのうえで構築する必要がある。

内省型リーダーシップ 第5回
一番深い内省は自己定義の見直し

第3回では、内省には4つのレベル(1.行動、2.仕組み、3.メンタルモデル、4.自己定義)があると説明しました。今回は、その中で最も深いレベルである自己定義レベルでの内省を、事例を交えて解説していきます。このレベルで内省を行い、自己定義をバージョンアップすると、その上の3つのレベルも自然と変化していきます。自己定義レベルの内省は、他の3つに影響を与えるほど深いものだといえるのです。

人材教育最前線 プロフェッショナル編
地道で煩雑な日々の仕事からも
前向きに学ぶ枠組みを整備

妊娠、出産、子育て、介護の分野で、経営理念である“愛”を商品やソフト・サービスとして提供するピジョン。1957年の設立以来、右肩上がりの成長を続け、現在、「グローバルカンパニーとしての自立」をスローガンに海外への積極的な事業展開を行う。同社では、そのための不可欠な枠組の1つとして、自立型人材の育成をめざす人事制度の仕組みを整備し続けている。その推進役を担っているのは、執行役員 人事総務本部長 板倉 正 氏だ。営業職をはじめ多様な職種を経た板倉氏は、「人事の専門性を高めたいという思いが徐々に強くなっていった」と話す。そのココロを伺った。

TOPIC 1 ASTD International JAPAN リーダーシップ開発委員会報告
日本人グローバルリーダーは
早期から青図を描いて育成を

去る4月21日、CHO協会・ASTD日本支部共催セミナー、「グローバルでアイデンティティを発揮するために求められるリーダーシップを開発するには?」が開催された(於:東京・パソナ本社1階多目的ホール)。このセミナーでは、ASTD日本支部リーダーシップ開発委員会が研究、考察した、日本企業におけるリーダーシップ開発のあり方や課題について同委員会委員長を務める永弘之氏が、参加者とのディスカッションを交えて語った。本稿では、主に当日の講演から、日本企業が置かれている危機的状況と、グローバルリーダー育成の必要性、そしてその方法についての提言を紹介する。

TOPIC 2 ~グローバルサプライチェーン・マネジメント~
知識体系の共有が生む国際競争力

供給網の安定的な確保、事業継続計画策定といった視点から、サプライチェーン・マネジメント(SCM)の重要性が高まっている。とりわけグローバル・サプライチェーン体制の整備に取り組む企業が増加しつつあるものの、日本では、これまで具体的な運用のための共通言語を持たなかった。そこで今回、日本生産性本部によりSCMの国際資格が日本でも認定可能に。その概要と日本における可能性を紹介する。

TOPIC 3 ─NIE at Workplace!学習媒体としての新聞─
新聞から自然と身につく
地球規模の想像力

『NIE』とは、Newspaper In Education、つまり教育に新聞を活用しようという運動のことである。1930年代にアメリカで始まり、日本でも毎年500以上の学校がNIE実践校に指定され、教育現場で新聞を活用している。しかし新聞を使った学習が有効なのは、小中学校の教育現場だけではない。グローバル化を前提とした今のビジネスの場でも、新聞は学習媒体として有益なメディアである。職場教育に新聞を──新聞から企業人が学べる知識や価値観、そしてその学習方法について、朝日新聞社 教育事業センター長の坂本 弘子 氏が語る。

論壇
世界中どこでも通用する
ユニバーサル・リーダーシップとは

国籍、人種、性別、宗教、年齢、受けた教育もバラバラなメンバーで仕事を行う時代が、すぐそこまで来ている。そこで必要なのが、ダイバーシティ環境をものともせず、活躍するグローバルリーダーである。では、どんな国でも通用するリーダーに求められる能力とはどんなものなのだろうか。この問いを解く研究を、現在もコンサルティング会社のニューヨーク事務所で、さまざまなバックグラウンドを持つ人材とともに働く藤村融氏が、自らの体験やヒヤリングなども含めて行った。

著者に聞く
完璧でなくても大丈夫
ビジネスの場で“使える英語”を学ぼう

ビジネスのグローバル化が進む中、日本のビジネスパーソンにとって英語でのコミュニケーションが必要不可欠なものとなってきている。しかし、日本人は義務教育として英語を学習しているにもかかわらず、英語に対して苦手意識を持つ人も少なくない。本書は、非ネイティブである日本人が、どのようにしてビジネスの場で使える英語を学んでいけばよいのか、話題のグロービッシュの考え方を使ってわかりやすくまとめられたものである。

人事の職場拝見! Vol.8
採用から育成、最終確認まで
型にはめない成長支援を

ローソンの企業理念は、「私たちは“みんなと暮らすマチ”を幸せにします」。この実現のためには、全国各地の店舗一つひとつに働きかける現場社員の役割が重要だ。採用から育成、最終的なスキルチェックまで一貫して行う、同社のヒューマンリソースステーション 人財開発を訪ねた。