月刊誌『人材教育』2011年10月号

人材の“持ち味”を客観評価できるツールとして、信頼を得ているアセスメントですが、その活用のの多くが「性格検査」や「知能能力検査」などの
「選別」的一側面のみにとどまっているのが現実です。
しかし本来、アセスメントは、受けた人自身が自分自身の課題に気づくことで、
成長を促進させることができるもの。
その「気づき」の起こし方や、その後の上司や人事などの導き方によって、
人材の成長度合いも大きく異なってきます。
そこで本特集では、アセスメントで得た気づきを行動変容や学習へとつなげる
具体的な方法と、アセスメントの活用方法を提示します。

巻頭インタビュー 私の人材教育論
「創って作って売る」を極めれば、
組織はひとりでに回り出す

1970年代に襲ったオイルショック。アルミ製錬という事業の根幹が大きく揺らいだことで、日本軽金属は大きな組織変革を迫られた。めざすは「アルミ+1(プラスワン)」。そこで必要となったのが「創って作って売る」人材の育成だった――社員の意識変革を促した人づくりへの思いを聞いた。

特集
評価から育成、動機づけまで
気づいて成長するアセスメント活用

世界や米国経済の混乱や大震災など、日本企業を取り巻くビジネス環境はさまざまに厳しい局面を迎え、企業内教育の方法も転換を迫られている。将来、労働人口が減少することも明白だ。そうした中、確実にいえることは、組織は従来よりも本腰を入れて人材の能力を最大限に高め、戦略的人材開発・活用を行っていく必要があるということである。その際、大いに役に立つのが実は「人材アセスメント」。人を選別するだけではなく、「人を育てる」ことに活用できるアセスメントの本領とは――

Opinion
人を動機づける新パラダイム
「アセスメント3.0」

人事評価とほぼ同義であるアセスメント。アセスメントで個人を分析することで可能となる最終段階が、モチベーションへの働きかけである。モチベーションがなければ、人は仕事をおっくうに思い、仕事から学ぶこともできない。モチベーションを上げ、成長を促すこれからの評価、アセスメントの新パラダイムとは――経営と人事管理を心理学的アプローチから研究してきた髙橋潔教授が記す。

企業事例1
360度診断で生まれる意欲を
担当者の熱意と実行力で継続学習へ

大阪に本社を構える合成繊維機械メーカーのTMTマシナリー。同社のアセスメントは、中堅層を対象に、研修とセットにした360度診断だ。研修は全て手挙げ式という同社だが、1度研修を受けると、「もっと学びたい」「職場の同僚にもオススメしたい」という意欲が連鎖していくのだという。学ぶ意欲の連鎖を生むアセスメントとはいかなるものか――。その背景には、教育担当者による数々の仕掛けがあった。

企業事例2
自らの現在位置を知り、
自己成長へつなぐアセスメント

東急リバブルでは、階層別教育の一環として、新任の部長職とリーダー層に対してアセスメントを実施している。同社においてアセスメントは、客観的に自分の現在位置を認識し、求められる役割に向けて成長を促すためのツールとして位置づけられる。どのようにアセスメントを活用し、組織の中核を担うマネジャークラスの自己成長を支援しているのだろうか。

企業事例3
自他の特性を察知する力が
チーム力向上につながる

富士通セミコンダクターでは、中堅社員の昇格者研修に、「メンバーシップ」の発揮状況――チームの中で仕事をするうえで必要となる個人の資質の発揮状況を把握できるアセスメントを組み込んで実施している。客観的に自己分析ができるアセスメントは、設計エンジニアが社員の80%以上を占める同社で好評を博し、人材育成に大いに役立っているという。

企業事例4
本人・上司・人事が気づき成長する
昇格時のアセスメント

昇進・昇格の際に活用されることが多いアセスメントセンター法。しかし、その結果を単に人事データとしてとどめてしまっては単なる評価指標というだけで終わってしまう。ローソンでは、アセスメント結果を人事・本人・上司の三者がそれぞれ検討、分析し、それぞれの気づきとその後の学びへと結びつけている。将来的にはアセスメント結果をベースに、個人の力を最大限に活かすタレント・マネジメントを実現したいという同社。その取り組みを取材した。

失敗しない「人材の見える化」
ブレる3 つの要因と対策

先行きが不確実な今日、企業を動かす人材には、より高いレベルが求められる。そこで、人材を見える化し、ビジョンと現状のギャップに基づいた育成を行う企業が増えている。しかし、見える化がブレているために、期待した効果が得られないケースが少なくない。どうすればブレない見える化ができるのか。イノベーション人材の育成に豊富な実績を持つiTiDコンサルティングに聞いた。

アセスメントの効果的な活用が
研修における「気づき・対話・実践」を高める

「人」を多様な角度から客観的に評価するアセスメント。日本能率協会マネジメントセンター(以下、JMAM)では、研修にアセスメントを組み入れることにより、能力開発の効果を高めている。ここでは、同社研修ラーニング事業本部販売促進部の3人に、アセスメントを組み入れた研修の有効性について語り合ってもらった。

中原 淳の学びは現場にあり! 第11回
社員500人がボランティアで被災地を支援
炊き出しを通して知る“食の原点”

甚大な被害をもたらした東日本大震災。被災地支援は義捐金の寄付に留まらず、被災地へ社員ボランティアを送り込んでいる企業も多い。社員によるボランティア活動は、企業、そして社員にどんな学びを残すのだろうか。すかいらーくグループによる被災地での社員ボランティアの現場を訪ねた。

酒井穣のちょっぴり経営学 第9回
ファイナンス1
ファイナンスってなんだ?

第7回、第8回と会計について考えてきたが、今回からは、ファイナンスを取り上げる。簡単ではない概念だが、理解できれば、事業活動の意味を正しく判断できるようになる。今回登場する数式も、よくよく読めば中学生レベルのもの。落ち着いて読み通してみてほしい。

内省型リーダーシップ 第6回
内省型フォロワーシップ

前回までお読みいただいた読者の中には「自分の上司にも内省型リーダーシップを学んでほしい!」と思われた方もいるかと思います。そう思っていただいたことは嬉しいのですが、内省が必要なのはリーダーだけではありません。フォロワーにも内省は有効な行動様式なのです!リーダーがどんなに優れていても、実際にはリーダー以外の人々(フォロワー)が動かなければ何も達成できません。今回は理想のフォロワー像を提示します。

人材教育最前線 プロフェッショナル編
フランス映画のような余韻で
研修と現場の学びをつなぐ

工業用シール剤・接着剤の分野のリーディングカンパニーであるスリーボンドの創業は1955年。現在は、日本、北中米、南米、欧州、アジア、中国の世界6極体制を軸としたネットワークづくりを進めている。人材開発部部長の大石正人氏は、12年もの長きにわたるアメリカ駐在の経験を持つ。社会人野球の選手としてスリーボンドに入社した大石氏は、ユニフォームからスーツに着替えた後も、営業、海外転勤、そして教育担当と幾度となく試練を乗り越えてきた。未知の役割にも常に全力投球する強さと情熱を持つ大石氏に、人材開発への思いを聞いた。

調査レポート
「Assessments 2011: Selecting and Developing for the Future」より
データからわかる北米企業のアセスメント活用状況

北米を中心とする海外企業の8割強がアセスメントを導入しており、とりわけ業界をリードするトップ企業ほど、人材活用や育成のために戦略的にアセスメントを活用しているという実態が明らかになった。「Assessments 2011: Selecting and Developing for the Future」の調査から、北米企業を中心とする海外企業の最新のアセスメント活用状況を紹介する。

TOPIC 1 企業活力研究所 人材育成研究会 調査研究・提言発表レポート
企業の将来を担う若者の育成確保に向けて

グローバル化が加速する今、多くの企業が強い若者、世界に通用する若者をいかに確保するかを課題としていることだろう。こうした現状を受け、企業活力研究所 人材育成研究会は、『グローバル競争下において必要な若者の育成確保のあり方に関する調査研究報告書』をまとめた。本稿では、2011年6月9日に実施された同研究報告書の提言発表会の内容をレポートする。

TOPIC 2 「研修効果測定セミナー」レポート
教育研修の効果を時系列で測る
“フローモデル”の可能性と事例

去る7月20日、東京都内のエイプルジャパン本社において「研修効果測定セミナー」が開催された。同セミナーは、有限責任事業組合ビジネスリサーチラボが開発した効果測定の枠組み“フローモデル”について説明したもの。フローモデルとはどのようなものか、セミナーの様子と合わせてレポートする。

TOPIC 3 人材育成に関するカンファレンス ASAP 2011 告知
グローバルスタンダードを肌で感じる
アジアでの人材開発カンファレンス

世界最大の人材育成・開発機関であるASTDと、シンガポールを拠点にローカルで人材開発に携わってきたSTADAが主催する人材育成に関するカンファレンス、ASAP 2011。来る2011年11月16日から18日、シンガポールにて行われる本会議が、日本の人事・人材開発部門にとってどのような意義を持つのか。ASTD日本支部会長で、ASAP 2011のパネリストを務める中原孝子氏に聞いた。

論壇
目的を熟考し、未来から考える
解決困難な課題は“ブレイクスルー思考”で考えよ

一筋縄ではいかない課題が、職場には溢れているようにも見える。人や組織にまつわる課題が、なかなか解決を見ないのは、私たちの今までの思考が、そもそも合っておらず、解決に向かわないのではないか。従来とは全く違う思考も学び、使い分けていくことが必要なのだ。そこで、あらゆる制約をとっぱらい、目的、未来志向で考える新しい思考を紹介したい。

人事の職場拝見! Vol.9
SPSにとって“人は財産”
成長の糧は「対課題力」「対人力」「対自分力」

サントリーグループ各社の広報・マーケティング支援業務を中心に、文化施設の管理運営等を手がけるサントリーパブリシティサービス。対人スキルを要する業務が多いため、社員にはコミュニケーション能力が求められる。ホスピタリティマインド溢れる人材を輩出し続ける同社の人材開発センターを訪ねた。