月刊誌『人材教育』2011年12月号

通信教育や書籍、社外セミナーの費用補助などの方法で、 個人の学習意欲を企業が支援する「自己啓発支援制度」。 その企業での導入は、6割を超えています(厚生労働省調査)。 しかし、教育制度全体から見た時、その位置づけは 決して高いとはいえないのが実態ではないでしょうか。 自己啓発支援制度は、自ら学ぶ力、すなわち“個人学習力”を育むもの。 組織が個によって形成されている以上、この個人学習力を 高めることが、組織力向上につながります。
そこで、本特集では個人学習力の重要性と、実際にそれを高めるための 自己啓発支援制度の見直し方について考察します。

巻頭インタビュー 私の人材教育論
創造開発力もグローバル人材も
源泉は「心の才能」

かつて困難とされていた機械の直線運動部の「ころがり化」。それを実現したのが、工作機械や半導体製造装置等々に使われているTHKの「LMガイド」だ。これは、回転運動部のころがり化を実現した回転ベアリング以来の技術革新だった。それから40年。グローバル時代を生き抜くにあたり新たな技術革新、人材づくりに迫られる同社。さらなる成長のヒントについて、寺町社長に伺った。

特集
組織能力の基盤は個人が学ぶ力
個人学習力を高める自己啓発制度の革新

6割を超える企業で導入されているといわれる「自己啓発支援制度」。しかし教育制度全体から見た時、その位置づけは決して高いとはいえないのが実態ではないだろうか。自己啓発支援制度は、自ら学ぶ力、すなわち“個人学習力”を育むものであるが、これはいかなる企業でも開発可能な組織能力である。組織が個によって形成されている以上、この個人学習力を高めることが、組織力向上につながるはずだ。本特集では個人学習力の重要性と、実際にそれを高めるための自己啓発支援制度の見直し方について考察する。

Opinion
理念的インセンティブと管理者の実践が
自己啓発活性の鍵

組織構成員一人ひとりが自ら学ぶ制度が自己啓発支援制度である。しかし、その活性化には、システム化(=組織的アプローチ)が不可欠である。自ら学ぶ個人の多い組織にするには、何か必要なのだろうか。日本企業における自己啓発制度の歴史的経緯と課題について、データをもとに考察する。

Column
自ら決定し実行することが
内発的動機づけを高める鍵
―脳科学から見る自己学習―

自ら学ぶ意欲と大きな関係がある、内発的動機づけ。これは、賞罰とは関係なく好奇心や関心によってもたらされる動機づけのことをいう。しかし、この内発的動機づけも、金銭的報酬が絡むことで大きな影響を受けるという研究がある。金銭的報酬は、自ら学ぼうとする意欲にどのような影響を与えるのか。脳科学の観点から内発的動機づけについて研究している玉川大学脳科学研究所 松元 健二 教授に聞いた。

企業事例1
自ら考え、行動し、学びとらせる
「黒板のない教室」

「いわれるまで動かない」「自分で考えられない」といったことが若手社員の課題として掲げられる中で、「そもそもなぜ学ぶのか」ということから徹底的に考えさせ、自ら学びとらせる研修がある。自動車部品等の生産、販売、研究開発大手の矢崎総業が行うアドベンチャースクールだ。内定者のうち希望者に対し、海外で1年間の研修期間を与えるというユニークな同社の取り組みを通して、いかに自ら学び、挑戦する人材が育っているのか。その実際を聞いた。

企業事例2
教育担当者の粘り強い説得と
上司の率先が社員を学ばせる

北海道における自動車販売の草分け、札幌トヨタ自動車では、社員の自己啓発の一環として、1986年に通信教育制度を導入。以来、四半世紀にわたり継続して取り組んできた。近年の受講率は70%、修了率は50%をそれぞれ超える。さらに2005年度からはグループ15社にも展開するなど、自ら学ぶ風土づくりを積極的に推進し、成果を上げている。その秘訣は、経営トップの教育への思い、教育担当者の熱意、そして自己啓発を重視した教育制度づくりにあった。

Column
知を美しく可視化する「読書の森」図書館
―本がつなぐ知識と創造性の輪―

仕事で追われ、寸暇を捻出することすら難しい昨今。オシャレで、かつ一見してわかる工夫で、社員が自然に本を手に取りたくなる仕掛けがある。モバイル広告・マーケティング会社、ディーツーコミュニケーションズが行う「読書の森」プロジェクトだ。「本を読んだ人が、共感したところに付箋を貼っていく」というシンプルなものだが、社内の知を見える化し、社員の知りたい、学びたいという意欲を刺激する。ユニークな森のユニークな仕掛けについて、仕掛け人の甲斐慎一郎氏に聞いた。

主体的な学びを育む
オンデマンド型学習環境

日本ユニシスでは、従来のリアルトレーニング(集合研修)に加えた人材育成の場として、“通勤電車を書斎に”を合言葉に、PC・スマートフォンを活用した『Air Camp(エア・キャンプ)』というオンデマンド型の学習環境を作り上げている。その仕組みを支えているのは、ビジネス・ブレークスルーの『サイバー・セミナー』という各界著名講師陣による講義配信サービスだ。『Air Camp』とはどのような仕組みなのか、そこで『サイバー・セミナー』をどのように活用しているのか。日本ユニシスの竹田裕彦氏、柴田宏一氏にお話を伺った。

『新聞塾』セミナーレポート

去る10月21日、日本能率協会マネジメントセンター(以下、JMAM)は、「グローバル時代に求められる基礎力とは?」と題したセミナーを開催した(於:東京都港区・JMAM本社セミナールーム)。当日は、まずJMAMからグローバル時代に必要な基礎力について問題意識を提起。続いて朝日新聞社教育事業センター長の坂本弘子氏が、学習媒体としての新聞の可能性について講演を行った。その後、基礎力を養う新聞活用法について体験演習を実施し、セミナーは盛況のうちに終了した。本稿では、Part1でセミナーの概要と体験演習の様子を、Part2では坂本氏の講演内容をレポートし、Part3では開発担当者の声を紹介する。

導入事例:ゼロ
「e ラーニング ライブラリ」を
管理職の基礎教育・自己啓発に活用

1961年に日産陸送として設立以来、半世紀にわたり自動車輸送事業を手がけるゼロ(本社:川崎市、従業員数:956名)。人づくりに力を入れる同社は昨年、日本能率協会マネジメントセンター(以下、JMAM)の「eラーニングライブラリ」を導入。管理職の基礎教育や自己啓発に活用し、受講者から高い評価を得ている。

JMAM通信教育優秀企業賞 表彰企業事例報告
日油
「能力開発ポイント制度」が促す
戦略的な自己啓発

通信教育を人材育成に積極的に活用し、学ぶ風土を醸成している企業に贈呈される「JMAM通信教育優秀企業賞」。12月号から2号にわたり、2011年表彰の4社を紹介する。10年以上にわたり、通信教育を社員の自己啓発に役立ててきた日油では、自己啓発と人事制度を連動させた「能力開発ポイント制度」という仕組みを構築することで、社員が自ら学ぶ意欲を喚起・維持することに成功している。「能力開発ポイント制度」とはどのようなものなのか。社員の学びと成長を刺激する同社の“仕掛け”を紹介する。

JMAM通信教育優秀企業賞 表彰企業事例報告
ホーユー
トップ・部門長・人事の連携で「自律協働型人材」を育てる

ヘアカラーをファッションとして、またより手軽で便利なものとして大衆に根づかせたホーユー。同社の通信教育制度は20年の歴史を持ち、その間受講率・修了率ともに高い水準を維持してきた。自己啓発の一環としてスタートした通信教育は、常に現場の声や時流を見据えながら見直しが図られ、今ではトップや部門長を巻き込んだ会社ぐるみの学びのツールへ進化している。同社の取り組みについて聞いた。

特別レポート 多様化する社会人向け語学教育
拡大に転じた語学ビジネス市場
グローバル化の進展でビジネスニーズが拡大

日本企業のグローバル化が進展する中で、ビジネスパーソンの外国語習得が必須となってきている。英語の社内公用語化を進める企業や、自己啓発制度を見直して個人による外国語習得を手厚くサポートする企業が増加しており、語学教育に対する企業の熱が改めて高まってきているようだ。そうしたなかで、語学教育サービスを提供する側の各社は、独自のプログラムや学習方法を開発し、市場の掘り起こしに努めている。そこで今回は、語学ビジネス市場の最新動向をレポートする。

注目のビジネス中国語を
学ぶ・測る

中国が世界経済の中で存在感を増している今、中国語学習への関心が急速に高まっている。対中国ビジネスをより円滑化するためには、中国語によるコミュニケーションが必要──こう考える企業が増えてきているのだ。そこで今回、中国政府が認定する『ビジネス中国語検定試験/ Business Chinese Test』(以下、BCT)の日本事務局を運営するセリングビジョンの小川英郎氏、梁美英氏に、中国語学習の現状について話を伺った。

中原 淳の学びは現場にあり! 第12回
世界に誇る伝統工芸の技を受け継ぐ 
江戸切子職人たちの学び

江戸切子の制作、販売を手掛ける華硝は、その製品が洞爺湖サミットで各国国賓への贈り物として用いられる、江戸切子のトップブランド。その工房を支えるのは若い職人たち。一人前になるまで10年はかかるという職人の世界にあって、次々と若い職人が育つ現場の秘密を探ります。

酒井穣のちょっぴり経営学 第11回
画期的なイノベーションが起こりにくい理由

ここまで、リーダーシップやマーケティング、会計、ファイナンスなど、戦略を考える際や会社の状況把握に役立つ基礎知識について見てきた。今回は、持続的な企業経営を考えるうえで重要な「イノベーション」を取り上げる。イノベーションとはどういったものなのか、またその性質について整理して見てみよう。

人材教育最前線 プロフェッショナル編
仕事の現場が「教育の現場」
OJT、研修、自己研鑚で自分を磨く

日本初の民間シンクタンクとして設立された野村総合研究所に、野村コンピュータシステムが合併し、1988年に新たに誕生した野村総合研究所。世界の金融ITサービス企業の売上上位100社ランキング「FinTech100」では、今年も前年に続き第9位と、日本企業として唯一のトップ10入りを果たした。同社で入社以来長年SEとしてのキャリアを積み、現在、全社の人材育成を担っているのが人材開発センター長も兼務する広瀬一徳氏だ。技術改革が激しいITの現場で、自らを鍛えてきた広瀬氏に人材育成に対する思いを伺った。

TOPIC 野村総合研究所「次世代経営人材の育成における現状と今後」セミナー レポート
日本を牽引する次世代経営者の育成

去る9月28日、東京・コンファレンススクエア エムプラスにて野村総合研究所が主催する「次世代経営人材の育成における現状と今後」セミナーが開催された。次世代経営人材の育成に対する問題意識を反映するかのように会場は満席。100人以上が集まった。本記事では、当日行われた3つの講演の様子をレポートする。

論壇
生き残る人と組織とは
事業継続計画と組織・人事マネジメント

次々と事業の継続を揺さぶられる事態が日本を襲う昨今、事業継続計画(BCP)とそのマネジメント(BCM)に注目が集まっている。リスクに直面した際、すばやく対処できる組織とは、どんな組織でありその構成員はどんな人材だろうか。「生き残る組織づくり」に必要なこととは。

著者に聞く
戦術から戦略へ
今こそ現場からのボトムアップ・マーケティングを学ぼう

本書は、世界屈指のマーケティング戦略家として知られ、日本にもファンが多いアル・ライズとジャック・トラウトの著書『Bottom-Up Marketing』の邦訳版。翻訳を担当したのは、自身もマーケティングコンサルタントであり、著者二人の20年来のファンを自認する丸山謙治氏。本書の魅力を、丸山氏に伺った。

人事の職場拝見! Vol.11
部門間の壁をつなぐ人財により
“バリューチェーンイノベーター”へ変革する

エンジニアの派遣を主な事業とするVSN。同社には、実に2200名もの技術社員が所属する。客先で活躍するエンジニアは「全員VSNの正社員」というのが同社の大きな特徴だ。社員同士が離れた場所で働くという派遣業ならではの難題に挑みながら日夜、人づくりに力を入れる同社の人事を紹介する。

BOOK 「読んでみました」
自分らしく生きることが“自律”の原点

組織の連帯感を生むコアバリューの創造と浸透