月刊誌『人材教育』2012年07月号

採用が途絶えて配属されない新入社員、“教えた”経験や“教えられた”経験を持たない先輩社員たち――今、職場では様々な問題から、「教える」ことがおざなりになり、育成の連鎖が断絶しつつある。だが、企業の存続には、育成の連鎖が欠かせない。
そこで編集部では、「教えられる側」としてのみ捉えられがちな若手社員のうちから、あえて「教える側」になることを意識させることで、彼・彼女らの成長に寄与するだけでなく、職場に育成の連鎖を取り戻すことができるのではないかと考えた。
本特集では、その考えに基づいてオピニオンで教えることの本質に迫り、企業事例で各企業での「教える」ことの意義付けや、どのようにサポートしているのかを紹介する。

巻頭インタビュー 私の人材教育論
変化を恐れず世界に伍する人材を輩出するのが私の使命

世界170カ国以上で事業展開するグローバルカンパニー、ヒューレット・パッカード。「その日本法人トップだからこそ、見えてくるものがある」と語るのは、日本HPの小出伸一代表取締役社長執行役員だ。世界から見た、日本のグローバル人材に必要なものとは?新時代の「チーム力」について聞いた。

Opinion 1
“教え”の本質は“学び”にあり
――江戸時代に見る教育の原理

企業の中で、先輩から後輩にいかに“教える”か。 また、職場のメンバーが互いに教え合い、学び合うためにはどうすれば良いかが課題となっている。そもそも、“教える”ということの本質は何だろうか。京都大学名誉教授の辻本雅史氏は、江戸時代の手習塾や藩校などで行われていたのは、「教え込む」のではなく、「滲み込ませる」教育であったと述べる。 江戸の学びについて考えることで、「教える―学ぶ」という関係性が多様に変化する企業の人材育成のヒントを探りたい。

Opinion 2
「教える」チャンスを提供し育成の風土を根づかせる

人を教育することは、自分が成長するチャンス。そんな当たり前のことが、職場では実感しにくくなっている。「教える」ことで得られる効用を再確認し、再び企業成長の武器にするためには、継続して教える機会を提供し、この機会を逃さないよう職場全体で支える、育成の風土づくりが必要だ。

Opinion Column 1
氣を通わせ相手を尊重し導く心身統一合氣道の極意

相手の“氣”を尊重することにより、人を導き投げる合氣道。その考え方とプロセスは、人を教え導くためのヒントに溢れている。心身統一合氣道の継承者が語る、教え、学ぶための極意とは。

Opinion Column 2
NPOカタリバの活動から見る“教える”が持つ力

大学生が高校生へ自分の体験談を語るというキャリア教育を行い、注目されているNPOがある。大学生が高校生のキャリア教育をサポートすることは、教える側と教えられる側の双方にどのような学習効果をもたらすのか。日々、若者と向き合い続けている同団体の事業部長を務める今村亮氏に、取り組みを通して見えてきた現在の若者の傾向と“教える”ことで鍛えられる力についてお話いただいた。

企業事例1
住友商事
「指導員制度」がつくる“教え合い”“学び合う”風土

住友商事では、約半世紀もの長きにわたって「教える・教えられる」という関係が脈々と受け継がれてきた。そうした関係性をつくっている代表的な取り組みが「指導員制度」である。同社では、指導員と呼ばれる先輩社員が入社1年目の社員につきっきりで、仕事の進め方から社員として持つべき価値観や組織の仕事文化に至るまでを徹底指導する。教える側はインセンティブがなくても皆、当たり前のように後輩を指導しているという、同社の若手社員育成の仕組みを紹介する。

企業事例2
Z会
1年目から“教える”を意識させ“教える循環”をつくり出す

幼児から学生、社会人まで幅広い人々を対象に通信教育サービスを展開するZ会。教えることを事業の根幹とする同社では、“教えられる先輩”を目標に1年目から教育している。同社の教育手法から“、教える循環”のつくり方を学ぶ。

企業事例3
日本山村硝子
多角的なサポート体制が“教わる-教える”の連鎖を生む

日本山村硝子では、昨年、研修体系の再構築を実施。新入社員研修のあり方から階層別研修に至るまで、大幅に見直しをかけた。2014年に創業100周年を迎える同社は、世界的に展開するグローバル企業でもある。そこで同社が昨年から本腰を入れて取り組んでいるのが、グローバル人材の採用だ。特徴は、20年前からフィリピンの合弁会社のサポートを受け、フィリピン人の新卒採用を行ってきたという点。海外人材も含めて“教わる-教える”の連鎖に挑戦している同社の事例を紹介する。

行動理論の変革により職場環境を活用して成長する人材を育てる

株式会社ジェックでは1976 年以来、同社が主催・提供する各新入社員研修の冒頭で、新入社員の意識調査を実施してきた。「企業人として持つべき考え方」を問う調査の2000 年以降のデータをもとに見えてきた新入社員の傾向と、職場の課題をマッチさせるにはどのような施策が必要か。株式会社ジェックの越膳氏、岡田氏、松原氏、にお話を伺った。

仲間と仕事をすることの大切さや喜びを疑似体験できる野外体験学習プログラム「BSR(R)」

「コミュニケーションが苦手」「受動的で指示待ち」「仲間意識が希薄」など、昨今の新入社員特有の課題に悩む企業は多いのではないだろうか。そんな中、新入社員研修の一環として導入した企業から高い評価を得ている研修が、旭化成アミダスが提供する野外体験学習プログラム「BSR (ビジネス・シミュレーション・ラリー)」だ。講師を担う同社の田中靖氏と今村豊氏に、BSR の特長について聞いた。

研修のプロが語る
コミュニケーションスキルの強化ポイント

若手社員のコミュニケーション能力の向上は、多くの人事担当者にとって極めて大きな関心事。コミュニケーションの本来のあり方とは、どのようなものか。それをいかにして高めていけばよいのか。今回、HR インスティテュート( 以下HRI)のコンサルタントで数多くのコミュニケーションプログラムを実施している石田なお子氏にお話を伺った。

研修導入事例:アライドテレシスホールディングス受講の前後で行動がガラリと変わった「新入社員基本行動トレーニング」

ネットワーク関連の機器メーカー、ソリューション・プロバイダーのアライドテレシスホールディングス(本社・東京)。世界規模で成長を続ける同社は、新入社員に社会人としての基本行動を身につけさせるため、2010 年から日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)の「新入社員基本行動トレーニング」(Fresher’s Basic Action Training / FBT)を導入している。受講後、新人の行動が目に見えて変わり、身についた行動が配属後も持続する点が、高く評価されている。

ーー JMAM 通信教育 活用事例 vol.6 ーー
ビジネス道を歩む 中小企業サポート
シゴトレ12STEPは日本を支える中小企業の新人育成をサポートします!

新人の採用・定着は、中小企業にとって欠かせないテーマ。せっかく苦労して採用した新人も、入社後の育成サポートなしでは定着・成長が難しい状況になっています。仕事の基本を、しっかりと、職場ぐるみで新人に習得させるシゴトレ12STEPを活用し、新人育成に取り組まれているお客様事例をご紹介します。

読者提言 論壇
「信頼・貢献バリュー」による活力ある組織づくり

読者諸氏が所属する組織では、組織や人材の活力を十分に引き出せているといえるだろうか?組織や人材の活力を重要な経営テーマと捉え、企業はさまざまな取り組みを行うものの、空回りしているケースも少なくないようだ。本稿では、活性化施策に求められる「信頼・貢献バリュー」に基づく施策立案の考え方を提示する。

連載 グローバルビジネスに役立つ教養の本棚 第7回
哲学を学ぶ 「 西洋哲学」西洋人の思考を理解する

哲学は過去の遺物ではない。一見遠く感じるが、現在にも確かに影響している。たとえば、西洋の哲学者たちが考えたこと??三権分立や基本的人権などがそうだ。そして西洋哲学を知ることは、西洋人を理解し相互理解を進めるうえでも大いに役立つのである。

人材教育最前線 プロフェッショナル編
活躍するフィールドを広げると現業へのモチベーションも高まる

ドキュメントとコミュニケーションにかかわる課題を可視化し、全社最適の視点から経営課題解決と企業のビジネスの成長をサポートしている富士ゼロックス。グループ企業に富士ゼロックス総合教育研究所を擁する同社は、人材開発に力を入れている企業として知られる。山﨑紅氏は、営業人材の育成を中心に、13年間人づくりに携わってきた人物。今年4月、業務プロセス変革に取り組む変革マネジメント部へ異動した。氏は、「高いモチベーションを維持するには、活躍できるフィールドを広げることが大切」と話す。その意味は。

ポイント制で強みや貢献度を可視化しエンゲージメントを高めるソーシャルタレントマネジメント

社会の在り方と個人の価値観が変化するなかで、従業員のエンゲージメントがこれまで以上に重要となっている。そこで今回、楽しみながら従業員のエンゲージを高めるポイント制のソーシャルタレントマネジメントシステム『SilkRoad Point』が注目を集めているシルクロードテクノロジーの小野りちこ氏に、お話を伺った。

企業内大学「Toshibae-University」に見る「学習する組織」の構築

2002 年、全従業員参加型の企業内大学を他社に先駆けて設立した東芝 eソリューション社(現・東芝ソリューション)。時代が急速に変化する中、「学習する組織」の構築をめざした同社の人材開発システムは、他の多くの企業にとっても、人材戦略の基盤となり得るものだ。そこで今回は、同社の企業内大学『Toshiba e-University』の開発に携わった、人材採用開発担当グループの真野氏と小野氏に、お話を伺った。

連載 酒井穣のちょっぴり経営学 最終回
未来を予測できない時代の戦略論の基礎 ②

これまで17回にわたり、「経営学」のイロハを紹介してきた。それは、新しい人事に求められているのは、ヒトに関する知識以上に、経営に関する知識だからだ。今回は、具体的に会社の戦略をどう考えていけばいいのか、そして、会社の戦略と、人事が果たすべき役割の関係について述べ、連載の結びとしたい。

TOPIC 1
一流とのプロジェクトで入社間もない新人を鍛える
~丹青社「人づくりプロジェクトSHELF制作研修」レポート~

学生から社会人になったばかりの新入社員に、いきなり一流のプロと実際にモノをつくるプロジェクトを経験させる会社がある。商業施設や、博物館・美術館、イベントなどの「空間づくり」を行う丹青社だ。「人づくりプロジェクトSHELF制作研修」と名づけられたその取り組みで、新人たちは何をどう苦労し、学びを得るのか。

TOPIC 2
『人材教育』読者無料セミナーレポート今、人材開発担当者はどうあるべきか?
~変化し続ける世界と向き合い、未来をつくる~

グローバル人事・人材育成の仕組みづくり、育成の連鎖の修復、個人の内発的動機づけ、ソーシャルメディアの台頭をはじめとする学びの環境変化……。人事・人材開発担当者を取り巻く問題はさまざまに変化している。そのような中で、2012年4月23日に行われた本セミナーは、同じ人事・人材開発担当者という立場の読者が問題を共有し、対話や内省を通して考えを深めるための場として設けられた。当日は、約100名近くの読者が参加し、パネルディスカッション、分科会、そして参加者によるワールドカフェと盛りだくさんの内容で開催された。当日の様子を、ダイジェストで紹介する。

著者に聞く
問題解決の鮮やかさを決める「整理と分析の技術」をプロに学ぶ

あらゆる仕事の優劣を決定付ける、問題解決の能力。巷には問題解決の手法に関する書籍が溢れており、手にとったことがあるという人も少なくないはずだ。ところが、問題解決を扱う書籍のほとんどはその手法の紹介に終始しており、最重要ポイントの「問題の入り口」である整理と分析にスポットを当てた本は、ほとんどない。本書は数少ない整理・分析スキルに特化した一冊である。その魅力を、執筆者の一人である佐伯学氏に伺った。

連載 人事の職場拝見! Vol.18
コニカミノルタ総合サービス
研修は日々の育成のスパイス
真のグローバル化に向けた成長支援

コニカミノルタホールディングスを持ち株会社とするコニカミノルタグループは、世界40 カ国にグループ会社拠点を持ち、連結で約3 万8000 名の従業員が働く。グローバル規模の具体的な人材開発施策の立案・実施運営を担う、コニカミノルタ総合サービス 能力開発サービス部を訪問した。