月刊誌『人材教育』2012年08月号

どんな職場でも渇望される「問題解決」。
「問題」を解決するには、○○法や○○思考などの 具体的な手法を活用することも大切ですが、 そもそも、解決者の問題への感度が高く、物事も深く捉えられるようでなければ困難です。
本特集では、具体的にどうしたら問題への感度を高め、 問題解決へと実践していくことができる人材を育てられるのか、 ヒントとなる方法や考え方、優れた事例を紹介します。

巻頭インタビュー 私の人材教育論
風土改革は上から起こせ!見えない壁を打破する小さな仕掛け

ますますグローバル成長を加速し続けるテルモ。カテーテルや人工心肺装置などの主力製品を武器に海外売上比率は50%を越える。だが、世界をリードするイノベーションを生み出すためには日本の組織にありがちな「見えない壁」を壊す必要がある。「キーワードは“上からの改革”」という中尾浩治代表取締役会長に、独自の自由闊達な組織づくりについて聞いた。

特集
考える習慣と物事の捉え方がカギ
問題発見感度を高める

どんな職場でも渇望される「問題解決」。「問題」を解決するには、具体的な手法を活用することも大切だが、そもそも、問題への感度を高め、物事を深く捉えることが必要である。本特集では、具体的にどうしたら問題への感度を高め、解決へと実践できるのか、ヒントとなる方法や考え方、優れた事例を紹介する。

Opinion 1
大きな目標を持つことが問題発見感度を高める

問題発見とは何か。問題発見感度を高める方法はあるのか――。それは、大きな夢を持つことだ、と日本学術振興会理事長で工学博士の安西祐一郎氏はいう。では、どうしたら、大きな夢や目標を持てるのか。それは生きることだ―― 問題発見・問題解決のメカニズムと鍛え方について脳科学にも詳しい安西祐一郎氏に聞いた。

Opinion 2
「そうかもしれない思考」で高める問題発見能力・感度

問題解決のためには、そもそも問題を“問題”として捉える視点が欠かせない。しかし現在、変化が速いビジネス環境や、多くの情報が溢れる中で、じっくり物事を考え、多様な可能性に思いを巡らせることができなくなっている。和田秀樹氏は、精神科医、大学教授、受験指導塾運営、評論家、映画監督と多くの顔を持ち、年間40冊近い著書を刊行する。さまざまな問題に取り組む和田氏の、問題発見の視点はどのようにして身につけられるのか。問題発見能力習得や、感度を高めるためのポイントを聞いた。

企業事例1
ダスキン
現場の知恵を引き出す仕組みワークアウトで問題発見力育成

問題を問題として認識し、改善するには、現場の人間が主体性を持って考えなくてはならない。ダスキンが展開するフードサービス、ミスタードーナツ事業本部では、ワークアウトという問題解決手法を導入することで、現場スタッフが主体的に問題点に気づき、改善案を提案する職場へと風土をつくり変えていった。その導入時の経緯、職場への浸透・定着のプロセスから、問題発見力や、問題への感度を高める職場づくりのヒントを学びたい。

企業事例2
東洋インキSCホールディングス
QCサークルの復活・浸透で問題を共通言語で語れる職場をつくる

印刷インキの製造・販売を中心に、多彩な事業を展開している東洋インキグループ。同社では、生産現場のリーダー育成と問題発見力・解決力の強化をめざし、一度は廃止していたQC手法を学ぶためのカリキュラムを2010年から再開させた。生産現場の社員の問題発見感度を高める「QC手法実践プログラム」とはどのようなものか。同社の研修を紹介する。

企業事例3
未来工業
モットーは「常に考える」。改善提案で問題発見の感度と視点を養う

岐阜県大垣市に本社を構える電材関連メーカー、未来工業。取り扱う製品の多くが業界で高いシェアを占め、創業以来黒字決算という経営面ではもちろん、『常に考える』という経営理念に基づく、数々のユニークな施策で知られる。問題改善提案制度もその1つで、近年は年間1万件を超える提案があるという。同社では、社員が自発的に問題を感知し、提案し、改善することが、日々の仕事の中に組み込まれているのだ。社員自らが問題を発見し、改善する力を育てるにはどうすべきか。同社の仕組みを聞いた。

目標管理制度では人は育たない!「人財の可視化」で育成を強化する

多くの企業で導入されている目標管理制度やコンピテンシー評価。しかし、それらによって「適正な評価ができている」「評価結果を育成に活用できている」といえる企業は少ないのではないだろうか。人財を適正に評価し、その結果を育成に結びつけるにはどうすればよいのか。大手通信会社の人事を経て、現在はシグマクシスで企業の戦略的人財マネジメントを支援する林展宏氏に対応策を聞いた。

主体的な問題発見から成果につなげるHRインスティテュートの2つのプログラム

ビジネスを取り巻く環境が激変しつつある現在、ビジネスパーソンにはより高度な課題解決力が求められている。一人ひとりが主体的に課題を発見し、解決していくことができるかどうか。そのことに組織の命運がかかっているといっても過言ではない。今回、HR インスティテュート(以下、HRI)のコンサルタントで、課題解決の著作や多くの研修の実績を持つ国友秀基氏にお話を伺った。

~顧客価値を高める改善技法を網羅~
JMAMの問題解決プログラム体系

長年、多くの企業の問題解決力の向上をサポートしてきた株式会社日本能率協会マネジメントセンター(以下、JMAM)。問題解決が組織風土として根付く企業と、そうならない企業の違いはどこにあるのか、数多くの事例を見てきたというJMAM のチーフHRM コンサルタントである田崎洋氏に、組織における問題解決の要諦についてお話を伺った。

アセスメントセンターと問題解決傾向フィードバック主体的な管理職育成につながる2つの診断プログラム

企業の昇進・昇格審査は、“優れた人材を選抜する場”だけでなく、“管理職候補者の育成の場”としても重視されるようになってきた。今までは、審査の合格者に新任管理職研修を行い、管理職としての役割意識の醸成と必要な知識やスキルの向上を図っていたが、最近は、候補者の段階で、将来リーダーとして、自社が求める期待役割を果たせるように、経営基本教育を行う企業が増えてきている。昇進・昇格審査を優れた管理職育成の機会とするための取り組みについて、(株)日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)、アセスメント事業本部、本部長の青木千絵氏に話を伺った。

著者に聞く
問題解決の鮮やかさを決める「整理と分析の技術」をプロに学ぶ

あらゆる仕事の優劣を決定付ける、問題解決の能力。巷には問題解決の手法に関する書籍が溢れており、手にとったことがあるという人も少なくないはずだ。ところが、問題解決を扱う書籍のほとんどはその手法の紹介に終始しており、最重要ポイントの「問題の入り口」である整理と分析にスポットを当てた本は、ほとんどない。本書は数少ない整理・分析スキルに特化した一冊である。その魅力を、執筆者の一人である佐伯学氏に伺った。

TOPIC 1
経営学習研究所キックオフイベントレポート
組織力を高めるための“学習”その新たな可能性を考える

2012年6月4日、内田洋行 ユビキタス協創広場CANVAS(東京都・中央区新川)で経営学習研究所設立キックオフイベントが開催された。テーマは、「これからの新人教育の話をしよう!」。本稿では、先鋭的な2社の事例を学ぶ第一部と、経営学習研究所の理事8人によるイーゼルトークの第二部で構成された当イベントの様子をレポートする。

連載 中原淳の学びは現場にあり! 第16回
人もイルカもほめて育てる!?水族館
イルカと共に成長するトレーナーたちの学び
検証現場 新江ノ島水族館

新江ノ島水族館は「えのすい」の愛称で知られる湘南江の島にある水族館。中でもイルカ・アシカショーは人気です。動物たちと共に、観客を魅了するショーをつくり出すトレーナーたちは子どもたちの憧れの的。そんな華やかなショーの舞台裏を訪ねました。

新連載 金井壽宏の「人勢塾」に学ぶ。試す! 人と組織の元気づくり
第1回 会議学

成熟社会。正解のないビジネス現場。社内のコミュニケーション不足――これらの課題に、即効性のある薬などないことは、誰もが感じているだろう。この状況に風穴を開ける術は、全くないのだろうか?その問いに挑むのが、神戸大学で金井壽宏先生が主催する第4期「人勢塾」。本誌では、「人勢塾」全10回の授業をレポート。施策1つで問題を解決するのではなく、組織全体へ多様なアプローチをする。そんな「組織開発」の手法を学び、ぜひ現場で試していただきたい。

連載 グローバルビジネスに役立つ教養の本棚 第8回
哲学を学ぶ 「 東洋哲学」
日本理解に欠かせない源流

東洋哲学は、西洋哲学と異なり、現代社会の制度的成り立ちに直接かかわっているわけではない。また、現在の中国やインドのあり方をそのまま示す、ともいいづらい。日本人にとって、東洋哲学とは「自分自身の探求」に関する示唆をくれるものなのである。

人材教育最前線 プロフェッショナル編
世界でいちばん人材が成長する会社へ

東洋哲学をビジネスという観点から捉える時、西洋哲学とは明確に異なる点があると私は考えています。前回、西洋の哲学は現在の社会やビジネスの制度の最上流にある「原子や分子」のようなもの、と説明しました。西洋の哲学は、産業技術や資本主義社会と確実につながっている、というのがその意味です。しかし、東洋思想・哲学は、現在我々が受け入れ、親しんでいる産業技術や資本主義社会を直接産んだわけではありません。この点が大きく異なります。ウイスキー、ビール、ワイン、ソフトドリンク……。おいしさとブランド力が際立つ消費財やサービスを提供し続けているサントリーホールディングスは、創業者の言葉に由来する「やってみなはれ」の精神で、常に新しい価値づくりを行ってきた企業だ。この長年にわたり培われてきた挑戦者精神を地で行くのが、人事本部でキャリア開発部課長を務める田端昌史氏。入社以来、複数の課題に挑戦してきた田端氏は、難問に直面した時には“本質”を徹底的に考え抜くことで、打破することを信条としてきた。そんな田端氏に自身の仕事観・人材育成観を熱く語っていただいた。

TOPIC 2
特別インタビュー:従業員エンゲージメントとタレントマネジメントの新潮流相互コミットメントで生まれる会社と従業員のエンゲージメント

これまで日本企業は、従業員満足を高め、企業へのロイヤルティを持たせることを重視してきた。しかし、グローバル規模で雇用の流動性が高まり、個人が自律的キャリアを求める中で、もはやそれだけでは十分ではない。そこでカギを握る概念が、「エンゲージメント」だ。今回はエンゲージメントに関する第一人者であるボブ・ケラー氏と、タレントマネジメントソリューションを提供するシルクロードテクノロジーのCMO、ウィリアム・エド・ヴァセリー氏に、従業員エンゲージメントについて聞いた。

読者提言 論壇
~「見せ方」の工夫で周囲への影響力を高める~
コンピテンシーの発揮の仕方

多くの企業がコンピテンシーによる人事制度を導入しているが、十分に活用し切れていないケースをよく目にする。コンピテンシーは、正確に理解し、職場で実践することで、誰もが効果的にリーダーシップを強化できる格好のツールだ。数多くのリーダーに対して実証されている活用法を紹介したい。

連載 インストラクショナルデザイナーがゆく 第62回
虹の彼方に成功が見えたASTD2012デンバーの夜

前回から引き続き、デンバーで開かれたASTD2012のお話。コロラド産のフルーティな白ワインGuyBrew Vineyardのシャルドネを飲みながら(のつもりで)、ここまでのリヴィジット(振り返り)をしよう。 トニー・ビンガムの「モバイル・ネイティブたちの育成には、学びと仕事をインテグレートしたグレートな組織づくりが必須!」というエネルギッシュな問題提起からスタートした基調講演。続いて登場したジム・コリンズが、『グッド・リーダー』と『グレート・リーダー』の違いを南極探検物語を例にドラマチックに語れば、『ミスター・クリエイティビティ』ことジョン・カオは、華麗にジャズピアノを弾きながら組織の『ストラクチャ(ルールと構造)』と個人の『クリエイティビティ(斬新な発想)』の間に起こる魅力的なイノベーションを音で表現してくれた。“ Somewhere Over the Rainbow(虹の彼方へ)”の演奏で幕を閉じたジョンの講演の余韻に浸りながらも、頭の中に渦巻くのは、「で、虹の彼方の成功はどうすれば手に入るのか?」というモヤモヤである。 そこに、「成功の秘訣はこれよ!」と颯爽と現れたのがこの方。

連載 人事の職場拝見! Vol.19
ノバルティス ファーマ
個々の社員とのかかわりを大切にしその人なりのリーダーシップを見出す

世界第2位の製薬会社、ノバルティス ファーマ。「事業を通じて人々のいのちと健康に貢献する」という企業目的のもと、新薬の開発力を強みとして、国内でも成長を続けている。同社の階層別研修を担う人材開発部の取り組みを紹介する。