月刊誌『人材教育』2012年09月号

グローバル化に成功している企業と迷走している企業、この違いは何でしょうか?
ひとつは、世界をいかにフラットに見ることができるかという、まなざしの違いがあげられます。 人種や国籍、異文化といったもの、日本という国にすらとらわれなければ、 自然体でグローバル化に取り組み、やるべきことをやっていけます。
もうひとつは、自社の基軸があることです。 価値観が明確であれば、どのような状況でもブレないで目標達成に向かうことができます。 グローバル競争では、勝ちに対するこだわりを持たなければ負けてしまいますが、 そうした厳しい競争を支えるのが、基軸といえます。
今号では、グローバルで活躍している識者と企業の取材を通し、グローバル化とは何か、何を行うべきなのか、示唆します。

巻頭インタビュー 私の人材教育論
ポジティブな挑戦と不安が人を育て安心が成長を妨げる

三菱電機株式会社(以下「三菱電機」)の設計をアウトソーシングする子会社として設立され、今年で50周年を迎えた三菱電機エンジニアリング。グローバル化が進む電機業界で、どのような方向をめざし、その方向に実際に同社を動かしていく人材をどう育てているのか。近藤誠社長に戦略を聞いた。

特集 国境のない世界をとらえる
基軸のある企業がグローバルで勝つ

日本から世界にフィールドが変わっても企業としてすべきことは基本的には変わらない。強みを考え、戦略を立て、人と組織の力を最大限引き出す――厳しい局面でも新しい環境下でも、やるべきことを淡々と行える企業と、迷う企業。その違いは、基軸の有無。本特集では、強いグローバル企業の基軸に迫る。

Opinion 1
安全地帯を出てグローバルで通用する筋肉を鍛えよ

グローバルとはマーケットも人材もイノベーションの源泉も地球規模で考えること。それを突き詰めると個人戦になる、と高津氏は語る。社名や肩書きが必ずしも通用しない海外で、個人として自分の能力を引き出しながら、心を開いて人とかかわり、関係を築き、ビジネスの目的を達成していける力が問われるのだ。そのための一歩は、自分のコンフォートゾーン(安全地帯)を出るところから始まる。

Opinion 2
地球規模で考え、行動するグローバル企業とは

宇宙から地球を見れば、国の違いや、人種、男女などの差は、些細なことである。グローバル経営とはそうした視点を持って企業活動を行っていくことだと八木氏は語る。それでは、地球規模で考えた時、勝てる企業は何をしているのか?そして、人材開発部ができるサポートとは何か?日本企業と外資系企業で実務家として活躍してきた八木氏に聞いた。

企業事例1 コマツ
コマツウェイという心構えがリーダーを育て品質をつくり込む

日本企業の中で早い段階からグローバルにビジネスを展開してきたことで知られるコマツ。現在、世界各国で事業を展開している同社では、2006年に、長い歴史の中で培ってきた同社の強さやそれを支える信念、心構え、行動様式を『コマツウェイ』として明文化した。世界各国にある現地法人とコマツウェイを共有することは、グローバル展開にあたりどのような効果が期待できるのか。同社の事例で見ていく。

企業事例2 資生堂
世界中の人の力を活かす制度と「資生堂Way」

資生堂は2008年に、10年後にめざす姿として「日本をオリジンとし、アジアを代表するグローバルプレイヤー」を掲げた。その目標達成のために、創業以来初めて、外部から人事部門トップへの人材登用に踏み切る。すでに世界89の国や地域に拠点を抱え、海外売上比率44.3%にもなる資生堂。グローバル先進企業ともいえる同社の戦略を紹介する。

企業事例3 日本たばこ産業
M&Aによる海外進出成功の要はマネジメントにあり

国内たばこ市場が明らかな縮小傾向にある中で、果敢に海外企業を買収しながら事業を拡大してきた日本たばこ産業。いまやその地位は世界第3位のグローバルプレーヤーだ。経験豊富な海外のグローバル人財を躊躇なく登用する手法は、日本企業の中では少し異質に映る。その背景にある同社のポリシーから、人財のグローバル化に必要な企業のあり方を探る。

中国における現地社員の育成ポイントは“強みの気づき”

中国におけるビジネスの展開上、最も難しいのは人材育成だ。“文化と価値観の違い”がマネジメントの機能化を阻止しているためだが、株式会社ジェックでは「人が変わるプロセスは一緒」だとし、それを裏付けるように同社が中国で提供する研修が大好評となっている。今回、同社の市耒 晃次氏、薛 晴氏に、中国における現地社員育成のポイントについてお話を伺った。

新興国市場に通じた人材を育てるための仕組みとは?

日本企業にとってグローバル化は避けられない問題だ。特に新興国とのビジネスをいかに展開していくかが大きな課題であり、その際に障壁となるのが人材の育成である。今回、グローバル人材および新興国市場に通じた人材の育成に強いサイコム・ブレインズの西田忠康・地紙厚の両氏に、新興国市場でリーダーシップを発揮できる日本人社員育成の仕組みについて、お話を伺った。

バウンダリー(境界)に橋を渡す力を高め強いエグゼクティブを育成する

日本企業がグローバル化を推進していくためには、強いリーダーシップを持つエグゼクティブの存在が欠かせない。だが、エグゼクティブが周囲から孤立し、自身の影響力を発揮できずにいるという。どうすればこの状況を変えられるのか。今回、研修やコンサルティングを通してエグゼクティブに接する機会が多いという株式会社日本能率協会マネジメントセンター(以下、JMAM)の渡辺京子氏にお話を伺った。

連載 金井壽宏の「人勢塾」に学ぶ。試す! 人と組織の元気づくり 第2回
ワークショップ

成熟社会。正解のないビジネス現場。社内のコミュニケーション不足――これらの課題に、即効性のある薬などないことは、誰もが感じているだろう。この状況に風穴を開ける術は、全くないのだろうか?その問いに挑むのが、神戸大学で金井壽宏先生が主催する第4期「人勢塾」。本誌では、「人勢塾」全10回の授業をレポート。施策1つで問題を解決するのではなく、組織全体へ多様なアプローチをする。そんな「組織開発」の手法を学び、ぜひ現場で試していただきたい。

ワンワード論語vol.1 学 思

あの「論語」を身近に学べる連載「ワンワード論語」。自らプロジェクトマネジャー等の経験を持ちながら、論語を40年以上学んできた青柳浩明講師が、論語に出てくる一字、一字に込められた深い意味や教えを紹介。そして、どうビジネスシーンに活かすことができるかをわかりやすく解説します。

Reporting Global HRD of the United States
米国グローバル人材育成の今

グローバル環境が世界中で当然となる中、新興国市場の発展を見据えた組織づくりや、人材のグローバル化が先行している米国において取材を行った。グローバル人材とはどんな人材であり、どのように育成できると米国では考えられているのだろうか。

HRD JAPAN2012開催迫る!
強みを築く!
~個性がつながり一体感ある組織へ~

9月11日~14日の4日間、アジア最大級のHRDカンファレンス「HRD JAPAN2012」が、品川プリンスホテル・アネックスタワーで開催される。32回目となる今回のテーマは、「強みを築く! ~個性がつながり一体感ある組織へ~」。グローバルな競争が激しくなる中、日本企業の存在感は、年々弱まっている。こうした危機的状況を脱し、“強い組織”として日本企業が復活するためには、今、何が必要なのか。本大会に込められたメッセージについて、大会企画委員長の花田光世氏が、セッションの背景にある人事の課題を東京理科大学の西村孝史氏が語る。

企業内では育成できない組織の「戦略リーダー」を養成する中央大学のMBAプログラム

グローバル化し、複雑化するビジネスに対応できるリーダー人材を どう育成するかが、多くの企業にとって課題となっている。その一 つの解決策として注目されるのが、ビジネススクールが提供する MBA(経営修士)プログラムだ。企業における人材育成の一環と してMBA プログラムを活用する意義について、中央大学ビジネス スクール(以下、CBS)教授(人的資源管理分野)を務める中島 豊氏に聞いた。

人材教育最前線 プロフェッショナル編
修羅場を経験すればこそ人は大きく、強くなれる

「イオン」を中心とした総合スーパーを全国に500店舗有するイオンリテール。同社は、流通国内大手のイオングループの中でも最大規模の企業であり、グループを支える存在だ。そうした同社で教育訓練部部長を務めているのが前川浩司氏である。前川氏は、26年の長きにわたり、現場の第一線で活躍してきた。現場で自らを高めてきた前川氏にとって、2006年に舞い込んだ人材開発部門への異動通達は、自他ともに寝耳に水の出来事だったという。現場時代から店長として日常的に人づくりに携わってきた前川氏に、仕事と人づくりへの思いを聞いた。

連載 グローバルビジネスに役立つ教養の本棚 第9回
哲学を学ぶ 「 日本の思想・哲学」日本と真摯に向き合う心構え

「自国のことをしっかり理解している」ことは、グローバル人材の定義の1つ。では、どのように日本のことを知ればいいのか。生半可な知識では、知っているようで知らない日本に切り込めない。通説、俗説にとどまらず、学術的な深い理解に踏み込むことが、国際的な場面で日本を説明する助けになる。

TOPIC 2
~インナーコミュニケーションエキスポ2012 レポート~
多様化する企業の戦略を社員の行動につなげるコミュニケーション

企業の理念や考え方を組織全体に浸透させるための社内広報活動は、人材開発においても重要な課題である。その点、社内広報部と人材開発部の目的は同じである。社員一人ひとりが組織の戦略に沿って行動するには、何が必要なのか。部門を越えた協働の契機として、社内広報の強化に学ぶ、ひとつのアプローチを紹介する。

TOPIC 3
全日本能率連盟が「マネジメント・インストラクター認定制度」を創設
研修インストラクターの質を認定する制度が誕生

人材育成の重要性が高まる中、その現場を担う研修講師やインストラクターの質に対する要望が高まっている。そこで全日本能率連盟では今年、日本にこれまでなかったマネジメント・インストラクターの認定制度を創設した。この制度の成り立ちやめざす目標について、事務局長の橋本佳名子氏、事業企画プロデューサーの古川憲一氏に話を聞いた。

時代の変化と共に生きていく新しい経営を今こそ考えよう

本書は、元・花王会長の著者が2004 年から日経ビジネスオンラインに連載してきた人気コラムを単行本化したもの。「科学的アプローチだけで新しい価値は生めない」「少子高齢化を生き抜く組織の条件」「日本の生きる道は職人の道」など、1つひとつのコラムが、日本企業が再び元気を取り戻すためのヒントに満ち溢れている。なぜ、今このタイミングで単行本化を決めたのか。タイトルの『新・日本的経営』に込めた思いとは? 著者の常盤文克氏にお話しを伺った。

連載 人事の職場拝見! Vol.20
コクヨ
グローバル化に備え、グループ各社の制度を統一
「第3の創業期」を全力で支援

ステーショナリーやオフィスファニチャーのメーカーであるコクヨ。創業100 年を超える老舗企業が今、変革期を迎えている。「紙製品」で創業後、1960 年代に第二の創業として「スチール家具」進出を果たし、現在は海外進出のためのグローバル化を推進中だ。このように経営環境が変化する中、人財開発部ではグループを上げて人事制度の改定や新たな人材育成戦略に取り組んでいる。