月刊誌『人材教育』2012年12月号

「中堅社員」とは、一般的には“新人以上管理職未満”と幅広で曖昧にとらえられ、実態をつかみにくく、 企業内人材育成でも、一番手薄になりがちです。 しかし、将来企業の中核を担う人材として、ただ放ってはおけない時期です。
実際、企業の教育担当者は、「全社視点や主体性、問題解決力」の不足や、「後輩の面倒見がよくない」点などを 中堅社員の課題として捉えています(JMAM調べ)。
では、彼・彼女らに、どうやってそうした点を伸ばしてもらうのか。 それには、期待役割を、明確に伝えることが第一歩。 そして、中堅社員が発揮すべき期待役割とは、「リーダーシップ」「フォロワーシップ」「メンバーシップ」「メンターシップ」「ラーナーシップ」の5つだと弊誌は考えます。
この「5S」をこの時期にしっかりと身につけることの重要性を、識者の知見と、すでに手を打っている企業や組織の事例で示します。

巻頭インタビュー 私の人材教育論
“世界標準”をつくるのは広い世界でチャレンジするグローカル人材

昇降機専業メーカーとして、65年の歴史を持つフジテック。早くから果敢に海外へ進出し、世界各地に営業拠点、生産拠点のネットワークを広げている。特にシンガポールや香港など、アジアのシェアは高く、際立った存在感を示す。内山高一取締役社長に、世界を攻める人材づくりの秘訣を伺った。

特集 関係の中で役割を実践させる
“5S”を発揮する強い中堅の育て方

「中堅社員」とは、一般的には“新人以上管理職未満”と幅広で曖昧に捉えられ、実態がつかみにくいという声も聞かれる。そのため人材育成も、一番手薄になりがちである。しかし、将来企業の中核を担う人材として、放ってはおけない時期だ。彼・彼女らには、どういう能力を伸ばし、どういう役割を発揮してもらえば、「組織の要」となってもらえるのか――弊誌ではその新たな視点として、新しい「5S」を訴えたい。

Opinion 1
リーダーシップ以前に必要なのは“メンバーシップ”

育成経験の乏しい上司たちや偏った成果主義の導入、自律型人材育成の推進等々――30代の職場環境は次世代リーダーが育ちづらいものとなっている。『不機嫌な職場』の著者、ジェイフィール代表取締役の高橋克徳氏は、なかでも彼・彼女らに不足している能力として、リーダーシップやメンバーシップを挙げる。その理由と、リーダーシップ・メンバーシップ向上に効く、組織アプローチとは。

Opinion 2
中堅社員のヒューマンスキルが集団のラーナーシップを高める

中堅社員にはどんな役割が求められ、その役割を担うためには、どんな能力を発揮すべきなのか――それを、「学習する組織」の普及をめざすSoLジャパンの小田理一郎氏に、システム思考、学習する組織の実現の観点で聞いた。カギは「集団での学習」である。

Opinion 3
“信頼”とリーダーを過信せず、自ら問題に関与するフォロワーたれ

中堅社員の5Sの中でも、「リーダーシップ」と「フォロワーシップ」は相互関係で成り立っている。 どちらが欠けても関係性は成り立たないはずだが、支える側のフォロワーが着目されることは稀だ。そこで、フォロワー側からのリーダーシップを研究テーマにしている駒澤大学准教授の日野健太氏に、フォロワーがリーダーについていく理由と、リーダーとフォロワーが求められる重要な姿勢を聞いた。

企業事例1 TOTO
「経営塾」を軸として中堅時代から志を育てる

TOTOは近年、今後の発展を見据え、中堅人材の研修内容を大きく見直している。社長直轄の次世代リーダー育成、育成を通じたグループ横断の人脈づくり、研修を受けた配置転換など、これまでになかった手法を取り入れたのだ。中堅人材数は決して多くないが、次代を担うリーダーとなるべくリーダーシップを発揮できるような育成が行われている。

企業事例2 トッパンフォームズ
“教えることで教えられる”真のリーダー、メンターを生む指導員制度

先輩が後輩を育て、メンターシップを発揮することで自らもリーダーシップに目覚める――「育てながら育つ好循環」を見事につくり出しているのがトッパンフォームズだ。注目したいのは創業時から40年間続けている「指導員制度」。毎年4月初旬、入社3~10年目の先輩社員が新入社員と10日間、合宿。指導役を務める。そのユニークな取り組みの詳細と手ごたえを聞いた。

企業事例3 博報堂
“粒違い”だから5Sもそれぞれ。万全の体制を用意し、選ばせる

顧客に他にはないアイデアを提供するため、粒揃いではなく“粒違い”の人材を育成することを旨とする博報堂が、2005年に開校したのが「HAKUHODO UNIV(. 通称:博報堂大学)」だ。そこで行われているバラエティー豊かなカリキュラムの中で、特に中堅社員の人材育成に深くかかわる2つのプログラム群を中心に、会社側の支援を人材開発戦略室に、成長実感や、日々の仕事からの学びを、中堅社員自身に聞いた。

フォロワーシップを鍵とする4つの視点を高め中堅社員を「中核社員」へ成長させるジェックのFS

中堅社員は現場の要であり、市場と直面する機会が最も多いのは中堅社員だ。企業の業績は中堅社員が握っているといっても過言ではないだろう。一方で、企業の中堅社員教育は手薄になりがちである。対象が幅広いうえ、育成方法も確固たるものがなかったからだ。しかし、ここにきて中堅社員育成の重要性に気づき始めた企業が増加している。今回、そうした企業からの相談が多いという株式会社ジェックの渡辺氏、近藤氏に、企業からの生の声と、中堅社員育成の具体策についてお話を伺った。

自ら“仕事をつくる”中堅社員を育て職場の課題を解決するHRインスティテュートの『ワークアウト®』

中堅社員は現場の最前線で働くチームの稼ぎ頭であり、仕事を受けるだけではなく自ら仕事をつくっていくことが求められている。しかし実際には、そうした中堅社員をどう育成していけばよいのかわからないという企業も少なくない。“中堅”という範囲が広すぎることが一因だ。今回、HR インスティテュート(以下、HRI)の三坂氏に、中堅社員育成のポイントについてお話を伺った。

連載 中原淳の学びは現場にあり 第18回
学びはフィールドにあり!?
顧客と一緒にキャンプをする会社
検証現場 スノーピーク

テントやランタン、焚火台など、アウトドア用品の製造・販売を手がけるスノーピーク社。同社ではユーザーである顧客と社員が一緒にキャンプをするイベントを年間10回以上行っています。社員はキャンプを通して何を学ぶのでしょうか。新潟県三条市にあるスノーピーク本社を訪ねました。

連載 金井壽宏の「人勢塾」に学ぶ。試す! 人と組織の元気づくり 第 5 回
家族療法と統合的介入法

成熟社会。正解のないビジネス現場。社内のコミュニケーション不足――これらの課題に、即効性のある薬などないことは、誰もが感じているだろう。この状況に風穴を開ける術は、全くないのだろうか?その問いに挑むのが、神戸大学で金井壽宏先生が主催する第4期「人勢塾」。本誌では、「人勢塾」全10回の授業をレポート。施策1つで問題を解決するのではなく、組織全体へ多様なアプローチをする。そんな「組織開発」の手法を学び、ぜひ現場で試していただきたい。

連載 グローバルビジネスに役立つ教養の本棚 最終回
再論、グローバル人材と「教養」

1年間にわたり、連載してきた本連載も最終回を迎える。グローバル人材に必要な教養とはいったい何だったのか?何のために資本主義を学び、歴史や宗教の書籍をひもとくのか。それは、自分を客観的に知り、相手との違いを自覚し、国の成り立ちと世界の動き方を知るためだ。自分と、自分が生きている世界に対する理解を深め、他者と対話をする準備を整える――そうした能動的な生き方のために教養がある。

人材教育最前線 プロフェッショナル編
現業や、外部を巻き込んだ研修でものづくりの勘所をつかませる

商業施設や博物館、美術館などの文化施設、イベントなどの空間づくりを行う丹青社。松村磨氏は、これまで文化施設やホテル、テーマパークなど大型案件を数々担当。その経験から現場感覚を生かした人材育成を企画、実践している。2005年から新入社員育成のために什器を作成する研修を始動、2009年には外部デザイナーも巻き込み、「人づくりプロジェクトSHELF制作研修」へと発展させる。この他、ショップ案件を新入社員とともに受け持ったり、横断的なプロジェクトにアドバイザーとして参加するなど精力的な活動を行う。そうした経緯と人材育成への思いを聞いた。

連載 ワンワード論語 第4 回
「省」

人の成長は、自分の「言(発言)」と「行(行動)」が及ぼした「果(結果)」を振り返り改善をし、次回に活かしていくというサイクルにより、もたらされます。これは、前回の“しまった”というような「過」の場合に限らず、実は、思い通りになった場合でも大切なことです。今回は、この振り返り、セルフチェックである「省」を学んでいきましょう。

JMAM通信教育優秀企業賞 表彰企業事例報告
アズワン
自己啓発を基盤とした「革新と創造」を実践する人づくり

理化学機器の総合商社として成長を続けるアズワン。その成長の原動力は、経営理念である「革新と創造」を掲げ、学びを実践する社員たちだ。9年前に本格導入した通信教育制度は、受講率87%、修了率90%という高水準を誇るまでに浸透。社員の昇格要件にも通信教育の受講を導入している。どのようにして学ぶ社風をつくり上げたのか、これまでの取り組みと今後の展望について伺った。

JMAM 通信教育優秀企業賞 表彰企業事例報告 
九州産業交通ホールディングス
顧客本位のサービスのための第一線の従業員に向けた風土改革

2005年にH.I.S.グループの一員となり、新たなスタートを切った九州産業交通グループ。社員の自己啓発を促進するため、1990年より通信教育を活用しているが、近年は参加者が低迷。そこで2010年に運用方法を見直し、社内への周知活動の強化などを実施。1年で受講者が大幅に増加した。そこには現場の社員をやる気にさせる細やかな改善の積み重ねがあった。

論壇
海外人材マネジメントのポイントとM&A後の統合事例への応用

海外事業成功の鍵は、優秀なローカル人材の意欲を引き出し定着させることにかかっており、そのための第一ステップは、現地の人材を知ることである。主要なローカルスタッフへのインタビュー等を通じたコミュニケーションの重要性は強調してもし過ぎることはない。言語や文化の異なる地では、国内と同じような「暗黙知」の世界でスキル・ノウハウを伝承していくことは難しく、方針・制度・スキル等をできる限り「形式知」化して移転することが重要である。本稿では、海外人材マネジメントの具体的方法とノウハウを、M& A後の人事制度・企業文化の統合(PMI)事例を交えて紹介する。

連載 人事の職場拝見! Vol.23
エムティーアイ
事業部ニーズをスピーディーに吸収
急成長の組織を“研修”で支える

音楽、ヘルスケア、電子書籍、生活情報、エンターテインメントなど、さまざま情報 をモバイル・コンテンツとして提供するエムティーアイ。事業の拡大に比例して、従 業員数も急増している。この急成長を支える人材開発部の取り組みに迫った。