月刊誌『人材教育』2013年02月号

近年、日本でも組織開発に改めて注目が集まっています。
欧米、特に米国企業では伝統的に、独立した組織開発(OD:Organization Development)部門を設けてきましたが、 日本企業にはあまり見られません。
その理由には、諸外国に比べれば、日本では人材が同質的であり、 あえて「組織開発」を意識して行わなくても組織がまとまろうとし、機能したためだという見解があります。
しかし、昨今の日本企業は、“何もせずとも組織として機能”しているといえるでしょうか。 世代間ギャップの苦悩や、外国人材などの受入れが待ち受け、「ダイバーシティ・マネジメント」の必要性が 声高に訴えられてきたことを考えれば答えは明白です。
また現状、日本で「組織開発」というと、飲みニケーションから クロスファンクショナルチームまでが一緒に語られ、 何をどうすることが組織開発なのか、その輪郭も曖昧です。
そこで本号では、様々な見解や成功事例を紹介することで、 組織開発に関する議論の土台をつくることをめざしました。

巻頭インタビュー 私の人材教育論 右脳左脳のバランスのとれた柔軟で主体的な人材こそ長期的な安全を守れる

鉄道や道路の信号システム等、交通インフラを社会に提供する日本信号。 “不易流行”のフェールセーフ技術により“交通の安全を守る”という経営理念の実現を追求する同社の求める人材像とその育成について、降旗洋平社長に聞いた。

環境変化に対応する企業を持続的成長に導く
組織開発の視点

「組織開発」と聞いてそれがどんなものか、一瞬にしてそれが何かイメージできる人はいるだろうか。 その定義は、日本でも海外でもさまざまである。本特集は、そんな多様な組織開発に対する考え方のバリエーションや、考える切り口を提供するものである。

Opinion 1 組織開発とホールシステム・アプローチ

「ワールド・カフェ」や「フューチャーサーチ」「AI」といった手法について聞いたことはあるだろうか。大勢で会議やワークショップを行うそれらの手法の総称が、「ホールシステム・アプローチ」だ。昨今やたらと耳にするようになってきたこれらの手法は組織開発の新しい流れだという。なぜそうした新しい流れが起きてきたのか。また、組織開発とは、何をどうしていくものなのか。組織行動論の実践編として組織開発を重視する、金井壽宏教授に聞いた。

Opinion 2 組織を俯瞰し、
有効な手法を組み合わせ
最適なアプローチで臨む
~結果を出す組織・人材開発のプロとは~

日本企業で“普通の社員”としてキャリアをスタートしながら、リーバイス、ナイキといったグローバル企業本社や各国で組織開発を実践し、期待された成果を上げてきた増田弥生氏に、その豊富な経験と実績を踏まえ、組織開発のあるべき姿や、組織開発のプロが持つべき能力などについて聞いた。

Opinion Column ピーター・センゲの「組織開発」

米経営学者ピーター・センゲが確立した「学習する組織」。“ 学習する組織化”も、参考にしたい組織開発の1つの方向性である。 センゲは、組織が「学習する組織」となっていくために、どんな要素が必要だと説いているのだろうか。 「ハード」と「ソフト」という視点で、センゲの同志である小田理一郎氏が解説する。

企業事例① 日産自動車 日産の効果的組織開発を支える「器」と「魂」

V字回復から10年。日産自動車の再生、組織開発の秘密には諸説ある。 なかでも注目されるのが、「CFT」(クロス・ファンクショナル・チーム)と「V-up」だ。 お題目に終わることなく、組織の壁、トップとボトムの壁、社内外の壁を取り払い、さらに会社の空気まで一新させた、その秘訣は、いったいどこにあるのだろうか? 活動の手法と、それを推進し続ける絶妙な仕掛けについて取材した。

企業事例② キリン 粘り強く対話の場を持ちトップも巻き込み理解者を増やす

キリンビールが組織活性に向け、2005年に始めたV10推進プロジェクトは、さまざまな対話の場を持ち、多くの理解者を得ることに成功した。その実績と思いは、2013年1月にキリンホールディングスの傘下に設立される国内綜合飲料新会社、キリン株式会社へと引き継がれる。これまでの組織開発のソフト、ハード両面における戦略について話を聞いた。

論壇①
職場の実像から見えた組織開発成功のポイント
~「組織感情診断レポート」からの示唆~

組織開発は“ハード”と“ソフト”の両輪が円滑に機能することで形づくられる。 どちらか一方が欠けていても強い組織を生み出すことはできない。 組織における“ソフト”を支えているのは人の心、感情だ。 本稿では職場における感情の総和となる「組織感情」に焦点を当て、組織開発を考察する。

現実のビジネスプロセスの中で次世代人材の育成能力開発を行う
人材開発部門の強みを生かした組織開発

人の成長、企業の成長を支援する株式会社IWNC。人材・組織開発に関して20 年以上の実績を持つ同社だが、近年、組織開発に関する問い合わせが増え続ける中で、IWNC が考える組織開発とは何か、それを具体的にどのように展開していくのか。同社の佐藤直行氏、増澤明子氏にお話を伺った。

連載 中原淳の学びは現場にあり! 第19 回
650年続く古典演劇を支える育成システム
伝統を受け継ぐ能楽師の学び

「初心忘るべからず」日本人なら誰もが知るこの言葉は、世阿弥が伝書「花鏡」に著したものです。世阿弥の時代から絶えることなく受け継がれ、現存する世界最古の古典演劇といわれている「能」は、数百年もの間、いったいどのようにして伝承されてきたのでしょうか。能楽師の方にお話を伺いました。

連載 金井壽宏の「人勢塾」に学ぶ。試す! 人と組織の元気づくり 第7回
「リアルタイム・ビデオ(RTV)」

成熟社会。正解のないビジネス現場。社内のコミュニケーション不足―― これらの課題に、即効性のある薬などないことは、誰もが感じているだろう。 この状況に風穴を開ける術は、全くないのだろうか? その問いに挑むのが、神戸大学で金井壽宏先生が主催する第4期「人勢塾」。 本誌では、「人勢塾」全10回の授業をレポート。 施策1つで問題を解決するのではなく、組織全体へ多様なアプローチをする。 そんな「組織開発」の手法を学び、ぜひ現場で試していただきたい。

ワンワード論語 第6回
「礼」

日々前進し続けるためには、今までの自分の心構えや言動を「省(かえりみる)」ことが大切です。 省みるポイントとして前回「義」を学びました。 今回は人間関係において欠かせない「礼」を学んでいきましょう。

人材教育最前線 プロフェッショナル編
未来に希望が持てる教育の実現が教育担当者の使命である

ソフトウェアのテスト・評価を行う検証事業のリーディング・カンパニーとして各種検証サービスを展開するベリサーブ。第三者検証という中立的な立場から企業の製品開発におけるソフトウェアの検証をサポートしている。同社の教育部門を立ち上げ、体系的な教育システムを構築したのが管理本部教育部部長の小林大輔氏だ。小林氏は高校教師、障がいを持った方に仕事を教えるジョブコーチという経歴を持ち、現在は企業の教育責任者であり、現役の研修講師として社内外で活躍している。豊富な教育経験を持つ小林氏に、人材育成に対する思いを伺った。

2012年度 JMAM通信教育 優秀企業賞 表彰企業事例報告

通信教育を人材育成に積極的に活用し、学ぶ風土を醸成している企業に贈呈される「JMAM 通信教育優秀企業賞」。 2012 年度に表彰された8 社の事例から、今号はキヤノンシステムアンドサポート株式会社、日本信号株式会社を紹介する。

JMAM 通信教育優秀企業賞 表彰企業事例報告 オーテック
学び行動する管理者を育てた四半世紀にわたる自己啓発

1934年の創業以来、78年間にわたり管工機材の販売および空調設備の制御をはじめ、各種設備機器の制御・監視・管理を手がけてきたオーテック。 ひたむきで堅実な経営姿勢は、人材の育成にも反映され、“学び”の精神が社員に受け継がれている。 24年前に通信教育を導入し、累計受講者数は約6000人に及ぶ。 高い受講率と修了率を下支えするのは、自らも長年通信教育で学んできた管理職だ。 「受講するのが当たり前」。社員の間には、ごく自然に“学び”が存在している。

JMAM 通信教育優秀企業賞 表彰企業事例報告 北陸電力
自己啓発の定着で、目標を立てチャレンジする人格を形成

富山・石川・福井の3県を中心に電気事業を展開する北陸電力では、社員の自己啓発支援の手段として、長年にわたり通信教育を活用している。 自己啓発による受講者は年間3,000人を超え、全体の約6割に上る。 中には8割を超える職場もあり、通信教育による自己啓発が習慣化され、知識・スキルの向上のみならず、目標を立てチャレンジする人格形成にもつながっている。

論壇②
エグゼクティブから始める日本企業の変革
~理念を語れるエグゼクティブをつくる~

絶えず変化し、政治・経済、あらゆる面で将来が描きにくくなってきている現代。 それでもエグゼクティブは、自社を変革していくために将来を描き、“志/生き様”を周囲に熱く語る力が必要だと著者はいう。そこで本稿では、聖域化されたエグゼクティブ教育に切り込むために、そのニーズと効果について明言したうえで、何をすべきかを提唱する。

調査レポート 「日本企業の経営課題2012」調査に見る“経営の道標”
企業の持続的成長のためにグローバル経営時代の人材を考える

日本企業の経営者を対象に行った調査で、事業・組織構造改革の実態が明らかになった。 この調査は毎年、日本能率協会(JMA) が行っているもので、今年は548 社から回答を得た。 本稿では、喫緊の課題として注目されるグローバル経営における組織、グローバル人材のあり方について紹介する。

連載 人事の職場拝見! 第25回
アルプス電気

個の意欲と可能性に賭ける教育理念の原点回帰と継承国内トップクラスの電子部品メーカー、アルプス電気。同社には“アルプスイズム”と呼ばれる「Work Hard, Study Hard, Play Hard(よく働き、よく学び、よく遊べ)」の精神が息づく。アルプスイズムを通じ、社員の個性を可能性に変える人財育成の根幹に迫った。