月刊誌『人材教育』2013年05月号

「働きがい」という概念が近年注目されているが、フレックスタイムやフリーアドレス制などの「働きやすい」環境を整えることと、「働きがい」を高めることは違う。

「働きがい」は、仕事を通じて仕事の中で得るものであり、成長や貢献を実感することなどで高まるものである。

そのためには、上司と部下がよくコミュニケーションをとり、社会における自社の存在意義と個々の仕事の意義を理解することなどが必要になる。個々の社員が自律的にキャリアを考える一方で、企業としてどのような経験や仕事を用意し、社員の人生におけるさまざまな局面をサポートしていくことができるのかを示し、お互いの信頼関係を築くことも重要である。本特集では、そのあり方を紹介する。

めざせ☆経営型人事 書籍に学ぶビジネストレンド 第2回
会社・組織の成長に欠かせない 未来予測

ビジネスのトレンドを知っておくことは、経営や人材を考えるビジネスパーソンにとって必須。本連載では、データバンクに勤め、1日1冊の読書を20年以上続けてきた、情報のプロが最新のビジネストレンドと、それを自分のものにするためのお薦めの書籍を紹介する。

巻頭インタビュー 私の人材教育論
強い組織の足腰とは
国際標準の仕事の仕方と
考えに考え抜く力

国内を中心に資源開発を手がけてきた石油資源開発は、事業構造の変革による埋蔵量のさらなる拡大を図るため事業の海外シフトを始めた。海外での資源開発を成功させるためには、スピーディーで足腰の強い組織が必要と語る渡辺修社長に、その組織づくりと人材育成の取り組みを聞いた。

特集
「働きやすさ」と「働きがい」は違う
企業成長につながる働きがい

「働きがい」は、働く人に、働く喜びをもたらす。その大切なものが、昨今得にくくなっている一方で、これを重視する働く人が増えている。価値観が多様化する中で企業と個人は、どのように「働きがい」をつくっていくことができるのか――

Opinion 1 働きやすさと働きがいの違い
貢献感と上司とのコミュニケーションが働きがいのカギ

どうすれば働きがいを取り戻すことができるのか。日本企業でそのカギを握るのは、職場である。職場でのコミュニケーションが、部下に達成感や成長感、そして貢献感といった働きがいに欠かせない感覚を与え、制度を生き生きしたものにする。

Column 1 能力開発による働きがいの確保を
取り引きとしての日本の人材マネジメント

この20年あまり、企業では仕事のやり方や人的構成が大きく変わった。ワーク・ライフ・バランスやダイバーシティも進む中、さまざまな働き方をする社員で構成される組織にどう一体感を培うか。90年代から現在に至る職場環境と、会社と個人との関係の大きな変化を大藪毅氏が概説し、働きがいを高めるポイントを示す。

Opinion 2 ダイバーシティを理解したうえで
働きがいを丁寧に捉えて4つのバランスで高めていく

働きがいを高めるためには「ほめればいいんだ」「重要な仕事を任せればいいんだ」と単純に理解していないだろうか? 中土井氏は、働きがいを高めるのは、4つの“認知”だという。この4つをバランスよく高められるような対話を上司と部下が丁寧にしていくことでたとえ同じ仕事内容でも、働きがいが向上するのだ。

Column 2 データに見る
WLB施策の効果と注意点

「働きやすさ」の追求に欠かせないWLB施策。これまで制度のメニューづくりや整備ばかりが注目されてきたが、近年はWLB施策が企業の生産性向上に寄与するという研究結果も出てきた。その一方で、長期の制度利用によりキャリアアップが難しくなる可能性を指摘する声もある。松原光代氏にワーク・ライフ・バランス施策の現状について伺った。

CASE.1 出光興産 働きがいが高まる組織風土
上司と部下の信頼関係がつくる
制度とコミュニケーションの相乗効果

やりがいを感じる従業員の割合=76.9%、新卒者の入社3年未満の離職率=6.7%――いずれも出光興産の2011年度の調査結果である。これほど多くの従業員がやりがいを感じ、離職率の低い職場は、どのようにして実現されているのか。その答えは、本人と上司が何でも話し合える、深い信頼関係の醸成にあった。

CASE.2 コクヨ
環境で変わる行動と意識
コミュニケーションの仕掛けが満載
“受容する力”のあるオフィス

ワーカーにとってほとんどの時間を費やすことになるオフィス。そのあり方を変えることによって社員の働き方を変えようとしているのが、オフィス家具・文具の国内大手メーカーのコクヨだ。同社が実験オフィスと位置づける「エコライブオフィス品川」のユニークな取り組みが注目を集めている。

CASE.3 佐竹食品
一生懸命、仕事を楽しむ “楽しいスーパー”への道は
従業員が楽しく働くことから

大阪北部で食品スーパーを展開する佐竹食品では、「日本一楽しいスーパー」になるため、意欲的に働ける環境づくりに力を入れている。従業員の主体性を引き出すカギとなるのは、“教育”ではなく、“チューニング”だという。そのココロは。

Case Column 人に必要とされる会社をつくる
月曜日が楽しみな会社

クリーム剤、軟膏剤など外用薬専門の受託メーカーである万協製薬。2009年に日本経営品質賞を受賞した同社は、社員を大切にする会社としても知られている。ここでは、代表取締役社長の松浦信男氏の経営哲学と、社員のモチベーションを高める仕組みを紹介する。

おわりに 「生きがい」に通じる「働きがい」

「働きがい」を高めるためには、さまざまな方法がある。特集の取材を通じて、繰り返し出てきたキーワードをもとに「働きがい」を高めるために外せないポイントを最後に紹介する。

メンタルヘルスとエンゲージメントを同時に向上
生き生きとした個人と組織を作るプログラム

メンタルヘルス業界で日本で唯一の上場企業である株式会社アドバンテッジ リスク マネジメント。この春、同社はメンタルヘルスケアのプログラム『アドバンテッジ タフネス』をリニューアルした。これにより、メンタル不調者への対応だけでなく、全従業員を対象に個人と組織の活性化と生産性の向上を支援できるようになった。今回、同社代表取締役社長の鳥越慎二氏と、同社の学術的裏付けを担当するアドバンテッジ心理学総合研究所の宗澤岳史氏に、『アドバンテッジ タフネス』についてお話を伺った。

変革リーダーの育成を阻害する「4つの罠」
そこから抜け出すために有効な「慶應型ケースメソッド」

めまぐるしく変化するビジネス環境に対応すべく、変革リーダーの育成に力を入れる企業が増えている。しかし、慶應義塾大学ビジネス・スクール(以下、KBS)の教授で戦略を専門とする磯辺剛彦氏は、企業には変革リーダーを育成する上でかかりやすい「4つの罠」があり、そこから抜け出すためには、KBSがエグゼクティブセミナーで提供しているケースメソッドが有効だと説く。4つの罠とはどのようなものか、そして、ケースメソッドがどう役立つのかを磯辺氏に聞いた。

金井壽宏の「人勢塾」に学ぶ。試す! 人と組織の元気づくり 最終回
「全ての学びを終えて」
~振り返りと金井先生寄稿~

成熟社会。正解のないビジネス現場。社内のコミュニケーション不足――これらの課題に、即効性のある薬などないことは、誰もが感じているだろう。この状況に風穴を開ける術は、全くないのだろうか? その問いに挑むのが、神戸大学で金井壽宏先生が主催する第4期「人勢塾」。本誌では、「人勢塾」全10回の授業をレポート。施策ひとつで問題を解決するのではなく、組織全体へ多様なアプローチをする。そんな「組織開発」の手法を学び、ぜひ現場で試していただきたい。

ワンワード論語 第9回
「勇」

Vol.8の「美」(長所・資質)を把握して高めようとする時や、Vol.3の「過」(失敗)を反省して改善する時に、絶対不可欠なものが「勇」です。

社労士に聞く“職場あるある” 管理職のもやもや解決 第2回
「残業が止まらない社員!」

円滑な職場運営は管理職の重要任務の1つ。けれども、さまざまな人が集う職場では日々問題が起こります。中には、手を出しにくいデリケートな問題も。かといって、放っておくと大事に発展することもあります。どうすべきか、もやもやと悩んでしまう管理職も多いでしょう。ここでは、社労士のところによく持ち込まれる管理職の悩みをピックアップ。人事にも把握しておいてほしい、解決方法を紹介していきます。

人材教育最前線 プロフェッショナル編
真の採用・育成を貫く ポテンシャルと魅力を引き出す

「人事や採用に携わるスタッフで私のような経歴を持った人は一般的に珍しいでしょう」。サトーホールディングス人財開発チーム主任の清水孝洋氏は、そう語りながらも「それがサトーの強みであり良さだ」と断言する。同社には“人の採用は玉石混交で”という経営ルールがある。全員が常にテストで100点を取るような人財である必要はなく、さまざまな人財が混ざり合っているからこそ、変化に対応できる柔軟な体質を維持することができるという。清水氏が歩んできた道と人事にかける想いは、まさにそんな同社の理念を象徴するものだった。

スマホで毎日30分の読書を1年間
真の英語力が身につく「多読学習法」

ビジネスにおける英語の必要性は高まるばかりだが、どうすれば仕事に使える英語を習得できるのか、悩んでいる社員は多いのではないだろうか。最近、教育界で一躍、注目を集めている英語習得法に「多読学習法」がある。従来、企業で導入するには難しい面があったが、学研パブリッシングが提供する「多読アカデミー」を利用すれば、企業でも容易に多読学習法を導入できるという。「多読学習法」でなぜ英語力が身につくのか、同社デジタル事業推進室の吉村大輔氏に聞いた。

スマホ対応、グローバルコース開講、多言語対応
企業のニーズに対応し進化を続ける
eラーニングライブラリ®

日本能率協会マネジメントセンター(以下、JMAM)の『eラーニングライブラリ』が進化を続けている。“eラーニング全121コースが(2013年4月現在)、定額で1年間使い放題”というこれまでにないスタイルが好評で、2010年のサービス開始以来、既に導入社数は900社を超えた。今回、企業のニーズを反映して、「スマホ・タブレット端末対応」、「グローバル」という視点で、さらなる進化を続けている。こうした一連の動きについて、同社の澤野いずみ氏、本間秀一氏にお話を伺った。

ここから始める!ポジティブメンタルヘルス 第1回
導入編「メンタルヘルス対策の新潮流」

依然として悩ましい職場のメンタルヘルス問題。“未然防止”が重要になる今、人事部門がどう考え方を見直し、動けばいいかを、すぐ使える具体的なツールも含めて紹介する連載です。

人事の職場拝見! Vol.28
実効性ある研修がつくる
“自ら育つ”風土と現場育成力

一般財団法人 東京都人材支援事業団 人材育成センターは都職員育成の総合的な実施機関であり、東京都総務局人事部から研修業務を受託、実施している。Off -JTに加え、OJTや自己啓発支援の他、都関連団体の職員育成も担い、都政全体を人材育成面で支えていた。