月刊誌『人材教育』2014年03月号

長引く不況で教育費削減が求められる中、多くの企業が研修内製化に取り組んでいます。しかし、その真の目的はコスト削減ではなく、より高レベルな研修プログラムの開発であるはずです。自社にふさわしい研修プログラムは、自社について最も詳しい人材開発担当者がプロデュースする必要がありますが、これまで外部に丸投げの研修も多く見られました。

かといって、内部で全てを担当するのが最も効果的な研修につながるかというとそうではありません。外部の専門スキルを持ったプロフェッショナルと企業内部の担当者の協働こそが、これからの研修内製化のあるべき姿でしょう。

それらを踏まえ、研修のつくり方やその考え方を紹介したうえで、本特集ではワークショップの内製化も紹介します。なぜなら、効果的な研修や学びの場のベースには、対話があるからと考えるからです。1つひとつの対話の質を向上させるヒントをワークショップの作り方から示唆します。

めざせ☆経営型人事 書籍に学ぶビジネストレンド 第12回
「新しい働き方」をどう読む?

ビジネスのトレンドを知っておくことは、経営や人材を考えるビジネスパーソンにとって必須である。本連載では、データバンクに勤め、1日1冊の読書を20年以上続けてきた、情報のプロが最新のビジネストレンドと、それを自分のものにするためのお薦めの書籍を紹介する。

巻頭インタビュー 私の人材教育論 めざすは大阪発 世界初。
人間、小さく縮こまらず壁も国境も突破すべし

「千客万来都市OSAKAプラン~全員参加で『大大阪』『大関西』をつくろう」2011年度から取り組んできた3カ年計画の第2期に入った大阪商工会議所。地域の中小企業の力を結び付け、「大阪発世界初」をめざすその姿は、グローバルビジネス、グローバル人材の開発においてさまざまなヒントをもたらす。苦境を乗り切る力、先を見通すための洞察力とは。大阪の底力を発掘、発信する同会議所会頭で、京阪電気鉄道最高顧問の佐藤茂雄氏に聞いた。

特集
組織を変える
ゼロからわかる研修内製化

長引く不況もあり、今ブームとなっている研修内製化。そのきっかけの多くは、コスト削減のようだが、それで本当に効果的な研修ができるだろうか。効果的な研修内製化を行ううえで必要なこととは何か。今回の取材を通し、実はそれには、何のために研修を行うかという研修の目的、ひいては人材開発部門の仕事の捉え方が重要であることがわかった。本特集をそのような視点で読み、改めて考えてみてほしい。なお、本特集は「PART.1研修内製化」と「PART.2ワークショップ内製化」の2部構成とした。対話が重視され、ワークショップに対する関心が高まる一方で、多くの人が誤解をしているとの声もよく聞かれるからだ。ワークショップについて、今一度考え方から確認をしていただきたい。また、「明日から真似できる」具体的なヒントも多くちりばめた。次回の研修に、この中から1つでも生かしていただけたら、幸いである。

PART.1 研修内製化

コスト削減を目的に研修内製化を始める企業が多い。それが叶うかどうかは疑問だが、結果的に研修内製化は、それ以上の効果を生む。組織の学びをリードするための内製化を紹介する。

OPINION 1 なぜ、今、内製化なのか 研修開発のイニシアチブを人事が握る

この数年、研修を企業で内製化する動きが進んでいる。『研修開発入門』(ダイヤモンド社)を上梓する中原氏は「研修内製化へ向かうのは必然」と話す。その理由と、人材開発部がすべきことを聞いた。

HOW TO 人事の付加価値を生む
研修のつくり方

年間プログラムを埋めるための、「研修をやるための研修」になっていないだろうか。そもそも研修は、何のために行い、人材開発の存在価値はどこにあるのか。企業の人材開発領域で経験を積み、現在はコンサルタント、ファシリテーターとして外部から企業のさまざまな研修、ワークショップにかかわる由佐氏に、人材開発部の存在意義も踏まえて、研修のつくり方を聞いた。

CASE.1 NTTコムウェア 研修は組織を変える 社内のニーズに応えるために内製化を実現

NTTコムウェアでの研修内製化は、自然な流れで起こった。社内のニーズを聞き、課題を把握し、研修の理想的なデリバリーを考えた結果、外部に頼るべきところはありつつも、人材開発部が直接運営するという形がベストだとわかったからだ。そして、今では着任したばかりの人でも研修をつくることができるように、そのノウハウを共有している。どうしたら、そんなことが可能なのか、その考え方と仕組みを紹介する。

CASE.2 ソフトバンクグループ 社内認定制度にまで!
熱い想いを持つ社員と人事が二人三脚で内製化に取り組む

ソフトバンク(本社:東京都港区)では、人材育成を目的とした企業内大学ソフトバンクユニバーシティの半分の研修を内製化。社内講師認定制度も設け、年齢・職種を問わず多彩な講師が活躍している。なぜ内製化に成功できたのか。理由を探った。(同社の研修内製化については本誌2013年7月号TOPICにも掲載。)

PART.2 ワークショップ内製化

新しいものの見方や考え方を身につけるには、みんなの知恵を寄せ合ったほうがいい。質のいい対話をする方法として注目されているワークショップについて、紹介する。

若手研究者対談 ワークショップにまつわる深ーい誤解

「ありきたりの研修にはもう飽きた」「対話型で楽しくやりたい」――理由はさまざまだが、研修にワークショップを取り入れたい、と望む企業も増えている。しかしながら、いざやってみようとすると何か物足りなかったり、対話が盛り上がらなかったり……。その原因は、ワークショップをそもそも理解していないからではないか。 そこで『ワークショップデザイン論――創ることで学ぶ』の共著書もあるワークショップ研究者の安斎勇樹氏と、学生時代から数々のワークショップ実践に携わり、『ワークショップと学び2 場づくりとしてのまなび』『プレイフル・ラーニング』などの共著書がある舘野泰一氏という若きワークショッパーのお二人に話を聞いた。最近、彼らが企業からの依頼で直面するという「ワークショップに対する誤解」から、ワークショップの本質を理解していこう。

CASE.3
組織的に発想を変える
3年かけて実現
ワークショップの内製化

従来通りの発想では、顧客の潜在ニーズを見つけることができない――そうした中で、どうやって新しいサービスを開発すればいいのだろう。KDDI研究所が行っているワークショップは、こんな問題意識に駆られた1人の技術者の試行錯誤からスタートした。まさにその人、ワークショップ仕掛人であるKDDI研究所の研究マネージャー、新井田統氏に、内製化の苦労やノウハウなどについて聞いた。

OPINION 2 対話の質を問う
タスク一辺倒の世界から、人中心の対話へ

なぜ、今、ワークショップをはじめとした人と人が話し合う場が、教育研修として注目をされているのか。組織行動論の研究者である金井氏に、その理由と対話の質について聞いた。

研修の内製化を成功させるには「教える人を教える」ことが不可欠

近年、研修の内製化に力を入れる企業が増えている。背景には、「優れた企業に共通して見られる強い企業文化を醸成するには、研修の内製化が必要」という考え方がある。では、研修の内製化はどのようにすればうまくいくのか。「参加者主体の研修手法」の開発で世界的に知られるボブ・パイク氏と、その手法に基づいた研修内製化サポートを国内で展開するダイナミックヒューマンキャピタル代表取締役の中村文子氏に聞いた。

「教え方検定」を活用し「教え、学び、つなぐ」風土が醸成された強い組織づくりを

経費節減などの目的で研修の内製化に舵を切る企業が増えている。しかし、「研修の内製化を効果的に行えば、自社で培われてきた独自の文化、理念、ノウハウなどの知的財産が継承され、強い組織づくりにつながる」と話すのは、Skillpod 代表取締役社長の須見庸子氏。これまで研修の内製化を数多く手掛け、「教え方検定」の生みの親でもある須見氏に、強い組織づくりにつながる研修内製化のコツを聞いた。

問題解決と意思決定の精度・効率を高める合理的思考法=「KT法」社内講師の養成で組織への定着を

変化と競争の激しいビジネス環境では、問題解決や意思決定を正確かつスピーディーに行うことが企業の業績に直結する。そのための手法として、半世紀以上にわたり世界中で用いられてきたのが、ケプナー・トリゴーの「KT法」である。必要な情報を体系的に集め、的確な結論を合理的に導き出すための思考の手順を整理・体系化したKT法は、1973年の日本法人設立以来、日本でも上場企業を中心に300社以上で活用されている。確実に成果を生み出すためには、社内講師を養成し、手法を日々の業務に定着させるのがポイントだ。

研修がかわる─社内ですぐつくる本格的なeラーニング

時間や場所を問わず、研修機会を効率よく提供できるeラーニング。しかし、いざ社内でオリジナル研修を実施しようとすると、何かと手間やコストがかかるのも事実。そこで、そうした煩わしさをなくし、eラーニングを内製化しやすくしたのが、ネットラーニングが提供する「かんたんeラーニング」である。このサービスを利用すれば、社内のどの部門でも、本格的なeラーニングコースを手軽に作成して実施することができる。1,000人以上の規模でeラーニングをもっと活用したいと考える企業にとっては、要注目のサービスだ。

内製化や一元管理など多様化するニーズに応える
デジタル・ナレッジのeラーニング・ソリューション

日本で初めてのeラーニング専門ソリューションベンダーとして知られるデジタル・ナレッジ。最近では米政府系団体が定める学習履歴管理の国際規格を日本で初めて導入するなど、さらに注目を集めている。今回、同社の中でも企業や官公庁を対象とした部署である研修ソリューション事業部の行田良弘氏に、eラーニング市場の動向から、これから企業に求められるeラーニングのあるべき姿までお話を伺った。

中堅社員の気づきを高める多面診断を用いた内製研修の工夫
日本軽金属の取り組み

2012年10月にホールディングス化を果たした日本軽金属。同社では、グループ全体をけん引する基幹人財を育成するため、教育や研修の質を高めることに注力している。知識やスキルの向上はもちろん、視野の広さや視点の高さ、コミュニケーション力を向上させることが課題だ。同社では、評価としてではなく、育成のツールとしてJMAMのアセスメントを導入。中堅社員の気づきを引き出すため『NAVI360』を活用しているという。今回、日本軽金属人事部の原田将氏に、同社のアセスメント活用法についてお話を伺った。

人材教育最前線 プロフェッショナル編
強い目的意識が支える変化を楽しむ挑戦

通信講座「進研ゼミ」をはじめ、教育事業を広く展開するベネッセコーポレーション。同社で人材育成の一翼を担っているのが人財部 人財開発課の野口悦子氏である。「誰にどう変わってほしいか、目的を考えれば、研修の内容ややり方も見えてくる」と語る野口氏は、常に挑戦し、新しい変化を求め続ける。「私自身、変化に対応するのが苦手。だから、その分、チャレンジの先には大きな成長があると信じている」。野口氏が取り組んできた数々の教育施策には、そんな自らの信条が表現されている。

特別企画 KAIKA カンファレンス 第二弾
「能率」+「KAIKA」へ
新たな価値を生み出す“つながり”を求めて

30年以上続いてきた「HRD JAPAN(能力開発総合大会)」から、今年新たに生まれ変わった「KAIKAカンファレンス」。リニューアルの背景には、次世代組織をつくる運動として日本能率協会(JMA)が提唱する「KAIKA」の考え方がある。そこで今回は、KAIKAカンファレンスが生まれた背景やKAIKAの考え方、KAIKAにかけられている思いを紹介する。

ワンワード論語 第19回
「直」

人間として最も大切にしたい心、それが「直」、正直さや素直さです。信頼されうる人格の基礎となる「直」の実践について学びましょう。

社労士に聞く“職場あるある” 管理職のもやもや解決 第12回
「健康診断を受けない社員」

円滑な職場運営は管理職の重要任務の1つ。けれども、さまざまな人が集う職場では日々問題が起こります。中には、手を出しにくいデリケートな問題も。かといって、放っておくと大事に発展することもあります。どうすべきか、もやもやと悩んでしまう管理職も多いことでしょう。ここでは、社労士のところによく持ち込まれる管理職の悩みをピックアップ。人事にも把握しておいてほしい、解決方法を紹介していきます。

TOPIC スタンフォード大学心理学教授 キャロル・ドゥエック氏に聞く
マネジャーが前向きなマインドセットを高める方法

ビジネス環境の変化が激しさを増す中、企業が顧客に対して高い付加価値を提供し続けるためには、継続的な変革、成長が必要だ。組織でそれを実現するために中核的な役割を果たすのがマネジャーである。では、マネジャーたちが、部下の本来持っている能力を高め、よりよい成果に結びつけるためにはどうすればよいのか。そうした人の能力発揮に密接に関連する心の持ち方、「マインドセット」について、『「やればできる!」の研究』(原題:『Mindset』)の著者であり、米国スタンフォード大学心理学教授の、キャロル・S・ドゥエック(Carol S. Dweck)博士に話を聞いた。

調査レポート:JMA「日本企業の経営課題」
経営課題の本質は「人材の強化」
新しいものを生み出す実行力をいかにして育むか

日本能率協会(JMA)は2013年11月、「日本企業の経営課題調査」の結果を発表した。この調査は、毎年行っているもので35回目となる今回は662社から回答を得た。本稿では調査結果を紹介しながら、今回のテーマである「戦略と実行の推進」を踏まえ、人と組織を中心とした実行力の強化にフォーカスし考察する。

人事の職場拝見! 第38回
仕事上の経験と内省を重視する
現場との連携でつくり出す職場教育

「企業は人が財産」を理念に、社員一人ひとりの能力を伸ばすことが会社の成長につながると考えるサトーホールディングス。ダイバーシティを推進する中で、より強い組織への変革をめざす同社では、人財開発室と現場とが連携し、現場での教育・成長を重視した人財育成に取り組んでいる。